ニュースと法律～弁護士解説～

２０１７年の大みそかに放送された件名の番組において、浜田雅功さんが扮したエディ・マーフィが物議をかもしています。

要するに、浜田さんが黒人であるエディさんに扮した様子を、笑いの種にしているのですが、これが「黒人差別なのではないか」という問題です。

番組側は、あくまでエディさんに扮した様子を笑うものであり、黒人を差別する意図はなかった、と弁明しています。

 

たしかに、番組側には、意図的な黒人差別の意識があったわけではないと思います。

 

しかし、結局のところ、問題は「黒人であるエディ・マーフィに、日本人である浜田さんが扮した様子を周囲や視聴者が見て笑う」ものであり、そこにある笑いの要素には必ず、「黒人に扮した浜田さんを笑う」という要素を避けて通れません。

そうすると、観る人（とりわけ黒人の方）によっては、「エディさんに扮した浜田さん」というよりは、「黒人に扮した浜田さん」を周囲が笑い物にしているとしか受け止められないこととなります。

 

結局、本件ではいくら番組側がその「意図」を説明しても、受けとめる側にそのように受け止められる保証はなく、むしろ差別的な物まねという評価を受けてしまうのです。

そして、差別というのは得てして意図的であろうとなかろうと、相手方を傷つけます。だからこそ、私たちは差別にはより敏感になる必要があると思うのです。

 

以前、ANAのポスターで、お笑い芸人が白人に扮したものがありましたが、あれはあれで大問題となり、撤去されるに至りました。

結局、「黒人の特徴」や「白人の特徴」をステレオタイプ化して商品化することには敏感になってなり過ぎることはなく、そうだとすればそもそも商品化するべきでないといえます。

 

私個人としては、ダウンタウンや浜田さんの実力ならば、何も今回のような物まねをしなくとも十分に笑いをとることができたのに、非常に残念に思います。

今後、二度と同様のことが起きないことを願っています。それは観る側の意識の改革も必要で、私たちも常に差別に対するアンテナを張る必要があると思います。