個人情報の価値は500円?~ベネッセ情報流出事件・地裁判決~

ベネッセコーポレーションの顧客情報が流出したことに伴う損害賠償を求める訴訟の判決(2018年6月20日東京地裁)がありました。

判決では、原告らの請求をいずれも棄却したとのことです。

当該訴訟では、情報流出に伴うプライバシー権侵害を訴えていますが、ベネッセ側からのおわび文の送付や、金券500円の交付などがされており、それらの事情も考慮の上で請求棄却となったようです。

 

昨今、ネットの普及に伴い、また権利意識の高まりもありプライバシー権に対する意識は高まる一方です。

半面、従来からの法制度や裁判実務はこのような実態に追い付いていないと言わざるを得ません。

 

ただ、侵害されたとする「プライバシー権」といっても、その中身や価値は千差万別です。というのも、プライバシー権といっても、氏名、生年月日、住所、家族構成、勤務先、趣味や嗜好、宗教、政治などあまりにも多岐にわたるからです。

そのため、プライバシー権があったとしても、具体的にそのことに対する賠償額(慰謝料額)をどう認定するかは非常に困難です。

 

本件の訴訟では、ベネッセが保有する情報として、出産予定日という情報も含まれていたようですが、結局、裁判所の判断としては、このようなプライバシー権侵害が生じているとしても、すでにおわびもされているし、金券500円の交付もあることから、これらと別に慰謝すべき損害はない、とされたもののようです。

 

なので、少なくとも本件裁判の裁判所の判断としては、この度の慰謝料は500円以下、と考えているといえます。

 

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