水たまり転倒事故、健診のために病院で。

共同通信社

 健康診断を受けに訪れた病院で、転んで負傷した責任は誰に? 東京都に住む女性(61)が通路の水たまりで転倒し、左肩を骨折したとして、都内の病院を運営する医療法人に計約1850万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は27日、病院が前日の雨で通路にできた水たまりを放置したと認め、約299万円の支払いを命じた。

 病院側は「通路は屋外スペースにあり、職員以外の通行が禁止されていた。事故は女性が足元の注意を怠ったためだ」と主張したが、渡辺充昭(わたなべ・みつあき)裁判官は、立ち入り禁止の表示はなく、同じフロアには健康診断会場があったと指摘。「簡易スリッパを履いた健康診断の受診者が通ることがあり得たのに、水たまりが放置され安全に通行できる状態でなかった」とした。

 判決によると、女性は2017年12月、健診で病院内を移動中に水たまりで転倒、左肩を骨折し、35日間の入院を余儀なくされるなどした。判決は女性の過失割合を2割とし、休業損害や慰謝料などを算定した。

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スーパー店内での転倒事故の事例をこれまでいくつか紹介してきましたが、この度の判決は病院での転倒事故事案です。健康診断のために訪れた利用者が移動の際に水たまりで転倒し、ケガをしたとのことで、相当額の賠償金を認めています。

判決では、簡易スリッパで通行することがある通路だったのに水たまりが放置されていたとしています。

この点、健康診断の利用者がその通路を通ることが予見できたか否か、水たまりで滑りやすい状況であり、転倒することが予見できたか否かがポイントになる事例です。

これらが予見できたのであれば当然、当該通路を通れないようにしたり、水たまりができないようにしたり、仮に通るにしても滑りやすい簡易スリッパで通らないようにしたりといった措置をとるべきでしたし、これらをとることは容易だったといえそうです。

 

雨により水たまりができることは仕方がないことですが、その結果、滑りやすい状況が生じるのであれば施設管理者としては何らかの対応策をとらないと、思わぬ責任問題になってしまいます。

 

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