退職した従業員から労働審判を申し立てられた。どう対処したらよいか。

退職した労働者が会社に対して労働審判を申し立てるケースとして一番多いのは未払い残業代請求の事案だと思います。ほかには、パワハラによる慰謝料請求や、そもそも退職が不当解雇によるものだとしてその無効を求める事案もあると思います。

いずれの事案においても、労働審判の申立てがされている以上、早急に適切な対処をすることが必要です。

具体的には、労働審判がわずか3回の期日にて一定の結論を出す制度であること、労働審判申立書が届いた時点ですでに初回の労働審判期日が指定されており、ほぼその初回期日の変更は不可能とされていること、初回期日まで約1か月程度しかないことを踏まえるべきということです。

要するに、労働審判申立書が届いてからゆっくりじっくり検討する時間的余裕はほぼないということです。今すぐに労働審判申立書を持って弁護士の下に相談に赴いて下さい。

他方で、従業員が通常訴訟ではなく、労働審判という制度を選択したことの意味も十分に考える必要があります。

労働審判は基本的には双方の歩み寄りによる合意を目指した制度ですから、従業員が労働審判を選択した時点で、解決の内容について妥協の余地があることが前提なのです。

このことを踏まえ、会社としても申し立てられた内容に妥協する余地があるかどうかを早い段階から検討する必要があります。

以上の点を念頭に対処することが大切です。

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