万引きをして逃げた客の防犯カメラの画像や撮影した顔写真を店内に掲示しても構わないか。
万引き防止の観点から、犯人(とされる者)の画像や写真を店内に掲示するケースがあるようです。
この問題を考える際には、
1 店舗側からした万引き防止ないし万引き犯確保、損害回復の必要性と
2 写真等を掲示された人のプライバシー権や名誉権との比較
だと言えます。
そして、万引き犯は防犯カメラ等に撮影されていたとしても逃げてしまえばなかなか捕まらない上に、自ら万引きの事実を打ち明けて後日店舗に弁償にくるなどしないことが多いです。
他方で、写真等が掲示されていると思えば、店舗に弁償に来るなどして弁償を実施し、写真等の掲示を外してもらうようになることも十分に考えらえます。
そうすると、写真等の掲示により損害回復を実現する店舗の必要性はとても大きいと言えます。
反対に、万引き犯については、顔写真等を掲載されたとしても、刑法に触れる違法行為をしている以上、プライバシー権の程度は低まり、やむを得ないものと考えられます。
結局、店舗の側の掲示措置は合法と言えます。
ただ、これは万引き犯であることが間違いないといえることが大前提となっていますし、掲示の方法も相当なものであることが前提です。
以上の問題については、警察において、逃走犯の写真情報等をビラまきしたり、警察署内に掲示したりしていることと比較して考えてもらえばよいかと思います。