会社が支給する通勤手当に関し、不正受給の疑いがあったが、懲戒処分をなしうるか。

従業員が会社に申告していた住所と、実際の住所が異なるため、実際の交通費以上の交通費を通勤手当として支給してきたような場合、当該従業員の責任問題に発展します。

従業員は、当然、虚偽申告を認識していたのでしょうから、実際に受給するはずの通勤手当との差額は不当利得として会社に返還すべきです。

他方、懲戒処分の有効性については慎重に検討すべきです。

裁判例では、住所自体が虚偽申告であり、不正額が多額、期間も長期に及ぶような事案で懲戒解雇を認めています。

他方、住所自体は偽りがなく、通勤経路のみが虚偽であり、額も小さく、期間も短いような事案では懲戒解雇は無効とされるでしょう。その場合でも戒告処分くらいは相当性が認められると思われます。また、懲戒解雇の有効性と、不正受給した額の返還とは別問題なので、返還を要求して構いません。

お問い合わせ・ご依頼はこちら086-441-9937