試用期間を設けて採用することの法的な意味と、その効果(試用期間中の採用拒否や解雇)の問題について教えてください。
試用期間を設けての採用は、法的には解約権留保付労働契約とされています(三菱樹脂事件最高裁判決)。
そもそも試用期間を設けることの意味としては、本採用をするか否かを判断し、本採用とした場合の配属先(適正)の判断にあります。
もっとも、試用期間だからといって、労働契約が成立していないということではなく、あくまで労働契約(雇用契約)は成立していることを前提に、会社が解約権を留保している、というのが上記最高裁の考え方です。
そして、解約権を留保しているからといっても、自由に無制限に解約ができることにはなりません。解約権の行使に際しても、解雇の場合と同様の、解雇権濫用法理が妥当します。
そこで、試用期間を設けたことの意味や、解約権を行使する理由などに照らして個別にその解約権行使の有効性が判断されます。
このような観点から考えると、試用期間を設けることの意味は、会社にとって、採用した人物の適正の評価を慎重に行えること、従業員からすると、その期間中に自分の適性を適格に会社に判断してもらうことにあるといえます。