どのように指導しても業務能率が上がらない従業員がいる。他の従業員の士気も下がるので何とか対処したい。解雇はできないか。
業務能率が低いことを根拠とした普通解雇ないし懲戒解雇は後に無効とされる恐れが高いので注意してください。
従業員と会社とは、雇用契約を締結し、従業員は労働力を提供し、会社はその対価たる賃金を支払います。会社からすれば、業務能率が低いのに賃金を支払うことに不満を感じるかもしれません。
しかし、業務能率の高い低いの判断には常に不確定な要素を含むこともあり、また当該社員のみの責任と認められるか疑問な点もあり得ます。
したがって、業務能率の低い従業員に対しては、たちまちの解雇ではなく、まずは業務能率が低いことの原因を上司とともに調査し、改善のための教育を行うことが先決です。
その上でこれら手段を尽くしたにも関わらず、改善が見られず、もはや会社の従業員としての適性を欠くに至ったような場合には普通解雇等の懲戒処分を検討する段階になります。
また、業務能率を個人の賃金に反映させること(能力給制度や歩合給制度)も併せて検討し、ひいては社内での士気の低下を防ぐことも必要かもしれません。