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【目次】

1 顧問弁護士とは何か

2 顧問弁護士が必要となる事例について

 ⑴顧問弁護士の必要性について

 ⑵顧問弁護士の必要性の例(契約締結の場面)

 ⑶顧問弁護士の必要性の例(債権回収の場面)

 ⑷顧問弁護士の必要性の例(労使紛争の場面)

 ⑸顧問弁護士の必要性の例(従業員支援プログラムの場面)

 ⑹顧問弁護士の必要性の例(著作権などコンテンツ管理の場面)

 ⑺顧問弁護士の必要性の例(インターネット誹謗中傷の場面)

3 顧問弁護士に頼めること

4 顧問弁護士の費用などについて

5 まとめ

 

【本文】

1 顧問弁護士とは何か

 日頃何気なく口にしたり、耳にしたりする「顧問弁護士」という言葉ですが、これは企業や個人事業主が特定の弁護士との間で顧問契約を締結し、日々の事業活動に伴い生じる法律問題について相談を受け付け、その助言をすることをいいます。弁護士サイドから見た場合には、顧問契約とか企業法務という言い方をすることもあります。

 このような顧問弁護士について、日本の企業ではまだまだ周知が低く、利用率も低いのが実情です。

 この点に関し、「日本弁護士連合会弁護士業務総合推進センターみずほ総合研究所株式会社」の調査では、中小企業による弁護士の利用経験について下記のようにまとめられています。

 その理由には様々なものがありますが、いずれにしても中小企業における顧問弁護士の利用率はまだまだ低く、このことがかえって中小企業の経営活動上のマイナスになっている側面は否定できません。

 当事務所でも、それまで顧問弁護士を依頼していなかった企業様からの個別紛争のご相談、ご依頼を頂いた際に、間違いなく皆様から「紛争になる前から相談をしておけばよかった。」「予め先生に顧問契約を締結しておけばよかった。」とのお声を頂いております。

 中小企業が弁護士を利用したことがあるかどうかについては、東京では、訴訟等の法的手続のみで 26.1%が利用、それ以外の事項も含めて 49.6%が利用し、全体では 75.7%が弁護士を利用した経験を持っている。東京以外の全国では、訴訟等の法的手続の弁護士利用度は 23.2%と変わらないものの、訴訟等以外の事項に関しては28.6%であり、全体として 51.8%の利用経験しかない。

 

2 顧問弁護士が必要となる事例について

⑴顧問弁護士の必要性について

 では、企業にとって顧問弁護士は具体的にどのような場合に必要となり、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。顧問弁護士が実際に企業に対してどのようなサポートが可能かをいくつかの事例に基づいて説明したいと思います。

 

⑵顧問弁護士の必要性の例(契約締結の場面)

 企業活動、企業経営に際しては日々、取引先や顧客などとの間で様々な契約締結がなされています。そして、その契約内容に基づき順調に企業活動が進む限りは顧問弁護士の必要性はないものの、自社もしくは相手方会社による契約内容の不履行などが生じると、たちまち法律問題となり、その解決のために多大な労力が必要となります。

 その際、事前に適切な契約書の締結や合意、約款の提示があればまだしも、実は個々の契約を交わしていないとか、口約束しかしていないという場合には、契約の内容を巡り争いとなり、紛争はいたずらに長期化します。

 これは、契約書を交わしていた場合でも、その契約条項に不足があったり、あいまいな文言があったり、実は契約内容には自社に不利な内容が含まれているような場合でも同様です。

 このような紛争に至ることは企業にとって大きなマイナスでしかなく、できれば未然に防ぎたいと誰しも思うことでしょう。そして、このような紛争を未然に防ぐには、事前にきちんとした契約書を作成し、交わしておくことに他なりません。

 しかし、日々の契約書を事前にきちんと交わしている企業や個人事業主は実はさほど多くありません。仮に作成していても、不十分、不正確な内容のことも少なくありません。

 この点、弁護士と顧問契約を交わしている場合には、契約書のリーガルチェック、作成の依頼も容易であることから、これらトラブルを未然に防止し、仮に紛争になっても自社に有利な解決に至ることが可能になるのです。

 

⑶顧問弁護士の必要性の例(債権回収の場面)

 上記の契約書の締結の問題にも関連しますが、企業が事業を行うには取引先からの債権を適切な時期に、契約内容通りの請求金額で支払ってもらうことが重要です。

 ところが、契約内容やこれに基づく契約履行状況に対する認識の違い、取引先会社の資金繰り状況などのために、支払い期限を徒過したり、約束通りの請求金額が支払われなかったりということが生じ得ます。

 このような問題に対して、多くの企業ではまずは自社で取引先への債権回収を試みることとなりますが、それでも功を奏しない場合には何らかの法的手段を考える必要があります。仮に法的手段に訴えることを躊躇したり、タイミングを失したりしてしまえば満足の行く解決にはなりません。

 そして、具体的な法的手段としては、内容証明郵便の発送支払い督促、仮差押え仮処分などの保全処分民事訴訟などがあり得ます。これらの手続はいずれも法的な知識や経験に基づく専門性の高い手続であることから、できることなら弁護士への依頼が望ましい問題です。

 その際、紛争が生じる以前から顧問弁護士と顧問契約を交わしている場合には、生じた問題についてすみやかに相談や依頼が可能となりますし、弁護士としても日ごろから会社の実情を熟知しているのでスムーズに手続きを進めることができます。

 結果、債権回収の場面でも自社に有利な解決が可能となります。

 

⑷顧問弁護士の必要性の例(労使紛争の場面)

 企業活動を行うに際して、従業員を雇用することは必須です。しかし、多くの企業は自社の従業員の雇用契約上生じる多くの問題で頭を悩ませています。

 たとえば、内定取り消し、試用期間、雇用期間の定め、賃金などの待遇、賃金や残業代、セクハラパワハラ、メンタルヘルス問題、問題行動を起こす従業員に対する処遇など枚挙にいとまがありません。

 当然、これらの問題について社内ですべて円満に解決できればそれに越したことはありませんが、権利意識の向上やSNSの普及に伴い、従業員の処遇を巡る解決も複雑化しているケースが散見されます。

 この点、顧問契約を締結している場合には、やはり社内の実情に詳しい弁護士に早期に適切なアドバイスをもらうことができ、紛争になりかけた時、紛争が大きくなりかけた時に早期に沈静化が可能となるのです。

 

⑸顧問弁護士の必要性の例(従業員支援プログラムの場面)

 最近では、顧問契約の締結の際に、企業の従業員に対する支援プログラム(EAP)を顧問契約の内容に含めるケースが増えています。これは、顧問契約を交わした企業に所属する従業員が抱える悩みや法律問題について、従業員の金銭負担なく顧問弁護士に法律相談ができるというものです。

 日々の生活の中で従業員は、交通事故、離婚、不倫、遺産分割、借金問題、近隣トラブルなどに巻き込まれその解決のために多くの悩みを抱えることがあります。人は誰しもこのようなトラブルを抱えると、強いストレスを抱え、日常生活に大なり小なり支障を来します。トラブル対応のために時間的にも多くの負担が生じます。

 そうなると、企業において本来発揮しているパフォーマンスを維持できず、結果、企業にとっては自社の営業利益にも悪影響となりかねないのです。

 そこで、予め顧問弁護士との間で従業員支援プログラムを交わしておけば何かあった際に従業員に安心して気軽に相談をしてもらえるのです。

 このようなプログラムの締結は、企業にとっては従業員に対する福利厚生の一環として採用の場面などで強い訴求効果をもたらします。そのため、優秀な人材を確保したい場合にも大きなメリットがあるのです。

 

⑹顧問弁護士の必要性の例(著作権などコンテンツ管理の場面)

 インターネットの普及した昨今では、Twitter、インスタグラム、Facebook、YouTube、tiktokなどのSNSを通じて多数のデジタルコンテンツが溢れています。コンテンツの種類も多様で、イラスト、動画、音楽、小説やコラム、各種プログラムなどがあります。さらには技術の発展に伴いこれから先も次々と新たなコンテンツが生まれるものと予想されます。

 このような各種コンテンツについては、その権利を守るため著作権法や関連する裁判例の理解が必須です。しかし、著作権を巡る問題は、法律自体の理解のみならず、個々のコンテンツに対する理解が必要になることから、必ずしもどの弁護士でも十分に精通しているとは言えないのが実情です。

 そうすると、著作権の問題について何かトラブルを抱えた段階で急ぎ弁護士を探そうと思っても、経験に富んだ詳しい弁護士に辿り着くことは容易ではありません。

 また、これらコンテンツの制作者は会社ではなく、個人の方が個人事業主として作成している場合も多く、そのような場合には相談料や顧問料を含めた「費用対効果」の問題に直面しかねません。

 とはいえ、次々とコンテンツを作成することで事業活動を展開し、安定した活動を行うためには、他者(他社)による盗用や、取引先からの適正な対価の確保の問題にしっかりと対応することが大切です。

 加えて、自らがコンテンツを作成する際にも、誤って他者(他社)の著作権を侵害していないかを事前に確認することも大切です。たとえば、他人の著作物のコラージュはどこまで法的に許されるのか、自分の動画のBGMで他人の曲を使うことは許されるのかなど個別に気にし始めると実は難しい問題が常に付きまとうのです。

 当事務所では、このようなクリエイターの方の日々直面する問題について、著作権法を始めとしたコンテンツ作成に伴い必要となる法律に精通し、事例の経験もあることから、クリエイターの方々から安心してご依頼頂くことが可能です。

 また、クリエイターの方々の実情に応じた顧問料もご提案可能です。

 

⑺顧問弁護士の必要性の例(インターネット誹謗中傷の場面)

 上記にも関連しますが、昨今、インターネットの著しい普及に伴い、各種媒体において多数の誹謗中傷行為が日々続いています。抜本的な対策が叫ばれる中、現状としては個別の誹謗中傷行為に対して個別に対応をするしかありません。

 そして、昨今のネットでの誹謗中傷行為に対する対策としては、①未然に、そのような誹謗中傷行為に巻き込まれないように意識する、②誹謗中傷行為がなされた際に自社で対応する、③弁護士に依頼をし、解決するという3つの段階が考えられます。

 ①は、誹謗中傷行為には常に原因があるところ、企業やその従業員の顧客対応に原因ないしきっかけがあることは少なくないので、可能な限りその原因を無くすことに注目したものです。

 ②は、ウェブ上になされた誹謗中傷行為に対して、企業そのものが主体となって対応をし、誹謗中傷行為に対するコメント対応、削除申請などを試みるものです。

 ③は、悪質な誹謗中傷行為に対して根本的な解決を法律的に実現するため弁護士に依頼をし、削除申請、仮処分、発信者情報開示などの手段を講じるものです。ケースによっては刑事告訴や民事損害賠償も可能です。

 ネットを通じた誹謗中傷行為は企業経営に非常に悪影響をもたらします。企業の利益そのものにも悪い影響がありますし、従業員の士気や労使間の信頼関係にも強い影響があります。

 そして、ネット上の誹謗中傷行為はある日突然生じること、執拗に繰り返されるケースがあること、専門性が重要であること、迅速な対応が求められること、企業の実情を踏まえた対応が必要であることから、可能であれば問題が生じた際に相談に行くのではなく、日ごろからこの分野に精通した弁護士への顧問契約を強くお勧めする次第です。

 

3 顧問弁護士に頼めること

 顧問弁護士が必要になるケースの代表例や当事務所での典型的かつ重点的な取り扱い分野は上記のとおりです。

 そして、顧問契約を締結すれば毎月、回数を問わず、相談内容の大小を問わず面談、ZOOM、電話、LINE、メール、ファックスという多様な方法で即座に個別の相談が可能です。

 従業員支援プログラムを導入した場合にも同様に、従業員から弁護士に直接、上記の手段にて個別の相談が可能です。この点、通常の法律相談であれば直接の面談もしくはZOOM以外の方法での法律相談には対応していませんが、顧問契約を締結している先の従業員の場合には、面談、ZOOM以外でも電話等での相談に対応をしている点、非常に便利だといえます。

 また、これら個別の相談を超えて、契約書のリーガルチェックについても顧問契約の範囲に含めれば、顧問料の範囲にて個別契約書のリーガルチェックに対応いたします。

 

4 顧問弁護士の費用などについて

 顧問弁護士の費用や料金については、依頼を頂く企業の規模(法人か個人事業主か、拠点や支店の数、取引先や従業員の数、売り上げ規模等)、取り扱い業務や分野の内容、顧問契約に含める範囲(契約書のリーガルチェック、債権回収、労使紛争、従業員支援プログラムなどのいずれを含めるのか)によって個別に決めることとなります。

 とはいえ、現在当事務所で頂いている顧問契約の一般的な顧問料相場としては、月額5,000円から30,000円の範囲となっています。当然、今後ご依頼を頂く顧問先企業の規模などによって変化は生じると言えますが、現状としては個人事業主の方を含めた比較的中小規模の企業様からのご依頼が大半を占めています。

 その意味では初めて顧問契約を頼もうと考えている企業様、そもそも自社に顧問弁護士は必要なのかを迷われている企業様にも気軽にご相談、ご依頼を頂きやすいものと考えております。

 また、現在の顧問先企業の業態としては、不動産業、運送業、建設業、ウェブデザイナー、イラストレーターなどとなっております。

 その上で対応している個別のご相談内容としては、契約書のリーガルチェック、契約書の作成、労使紛争、著作権侵害、誹謗中傷問題などとなっております。

 

5 まとめ

 以上のように、法人か個人事業かを問わず、昨今の企業活動上は顧問弁護士への依頼が非常に有益となっています

 とはいえ、それでもまだまだ顧問契約を交わしている企業は少ないのが実情です。その理由には様々ありますが、他方で企業規模や売り上げ規模が大きくなるほど顧問弁護士への依頼率は向上する傾向にあります。その理由は、企業規模等の拡大に伴い確認すべき契約書の数は増え、債権回収のリスクも増加し、顧客からのクレームやトラブルも増加し、従業員に対する福利厚生や人材確保の観点から従業員支援プログラムのメリットが大きくなるからです。

 これを逆に言えば、企業規模や売り上げ規模を拡大したいのであれば、顧問弁護士への依頼の必要性も同時に高まるということです。

 これから先の企業の展望を考えた時に、少しでも規模拡大を考えるのであれば顧問弁護士への依頼を前向きにご検討頂ければと思います。あなたの企業がこれからも安定して事業を継続し、さらには今以上に発展するための支援を当事務所が担えると考えています。

 

執筆者;弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)

1979年 東京都生まれ

2002年 早稲田大学法学部卒業

2006年 司法試験合格

2008年 岡山弁護士会に登録

2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所

2015年 弁護士法人に組織変更

2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更

2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所

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