顧問弁護士を依頼するメリットや費用についての解説

  【目次】

1 顧問弁護士とは何か

2 顧問弁護士を依頼する一般的なメリットについて

 ⑴いつでも気軽に相談できる

 ⑵紛争を未然に防止できる

 ⑶生じた紛争にすみやかに対応できる

 ⑷会社の実情を踏まえた相談や紛争対応ができる

 ⑸従業員の福利厚生になる

 ⑹会社のブランド維持に繋がる

 ⑺安心して経営に専念し、売り上げ向上や事業発展が実現できる

3 顧問弁護士を依頼する場合の一般的な費用相場について

4 顧問弁護士選びのポイントについて

 ⑴自社が抱える法律問題を明確化する

 ⑵自社が抱える法律問題を扱う弁護士を選ぶ

 ⑶自社の事業内容、価値、ブランドや目指す方向性を理解してくれる弁護士を選ぶ

 ⑷コミュニケーションがとりやすい弁護士を選ぶ

 ⑸サービス内容と顧問料のバランスが自社にとって許容範囲の弁護士を選ぶ

5 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所を顧問弁護士にした場合のメリットについて

 

【本文】

1 顧問弁護士とは何か
 顧問弁護士とは、会社や個人事業主が日々の事業活動を行うに際して、直面する法律問題(契約書作成、債権回収、人事労務問題、顧客対応、誹謗中傷対策、著作権などの知的財産権の保護、M&Aや事業承継、経営者や従業員の個人的な法律相談など)について、一定の顧問料の負担の下、自由にいつでも法律相談を可能とする弁護士と企業との契約を意味します。
 簡潔に言えば、企業がいつでも事業上関係する事柄について相談のできる弁護士との継続的な契約のことです。
 このような顧問弁護士の存在は、日々生じる事業活動上の様々な問題解決に非常に有益である反面、日本の中小企業では未だに「敷居が高い」「相談する事柄がない」との考えから、顧問弁護士との契約が非常に低いのが実情です。
 しかし、不意に紛争に巻き込まれると弁護士への相談や依頼が避けられなくなり、その時にいざ慌てて弁護士を探すとなると、企業の求める弁護士に辿り着くことはそうそう容易ではなく、結果、当該紛争も思うような解決に至らず、思わぬ損害となったとの声も少なくありません。当然、弁護士費用についても必要以上に高額な負担になることも少なくありません。
 そうしたことを防ぐためには、日ごろから自社のことを深く理解し、最適なアドバイスを即座に受けられる顧問弁護士の存在は非常に大きなものだと言えます。
 そこで、以下では顧問弁護士を依頼することのメリットについて解説をしたいと思います。

 

2 顧問弁護士を依頼する一般的なメリットについて
 ⑴いつでも気軽に相談ができる
 顧問弁護士は、企業との顧問契約を契機として、顧問契約の範囲内でいつでも気軽に企業が抱える企業法務について相談ができる相手です。
 一般的に弁護士への相談は、面談での相談が中心であり、そのためには事前の相談予約も必要になります。多くの弁護士は非常に多忙な日々を送っていることから、そもそも相談の予約自体も即日ということ自体容易ではなく、数日先とか1週間や2週間先ということも少なくありません。場合によっては、すでに抱えている多数の案件を理由に、当面の間、新規の相談自体を受け付けていないというケースすらあります。
 そうなると、いざ何か問題が生じた際に、特定の弁護士に相談を持ち掛けようとしても、そもそも相談自体をお願いできないとか、時間的に相当待たないとならないという結果になってしまいかねません。
 反面、すでに顧問契約を締結している弁護士であれば、通常は顧問先からの相談が入ることを見越して日々のスケジュールを調整しており、突然の相談にも即座に、もしくは相当すみやかに対応をしてくれることが通常です。
 また、相談の方法としても、一般の相談であれば面談のみで事務所への来所が前提となることが大半ですが、顧問先からの相談であれば面談以外にも、電話、ZOOMなどのビデオ会議、企業への弁護士の訪問での面談、FAX、メール、チャットなどによる多様な方法での相談対応が可能です。
 このように、顧問弁護士であれば、予約の融通が利く上に相談方法も含めて非常にスムーズに相談が可能となるのです。
 結果、企業の抱えた悩みや問題についてすみやかに解決が可能となるのです。これは、すぐにでも企業活動を前に進めたいという時には機会損失を防ぐことに繋がる非常に大きなメリットだといえます。

 ⑵紛争を未然に防止できる
 次のメリットは、何と言っても紛争の未然防止です。個人の紛争でも企業の紛争でも、いまだに多くの紛争は「生じてから」どう解決するかに意識が向けられがちです。
 しかし、どんな小さな紛争でも、いったんこれが生じてから解決するとなると一定の負担が伴います。当然、紛争の内容が大きくなればなるほど解決のためには時間も労力も要します。
 そうだとすると、そもそも紛争を未然に防ぐことができればどれだけ無駄がなくなることでしょうか。
 この点、日ごろから顧問弁護士に自社の契約書の作成やリーガルチェックをお願いし、自社で抱えたちょっとした気になる疑問などの助言を受けていればこのような紛争の未然予防が可能なのです。
 一見すると大げさだと思う方も多いようですが、世の中で生じる多くの企業の紛争は、契約書の不存在、契約書の内容の不備によって生じています。企業と従業員との労使紛争も似たような側面があり、雇用契約上、就業規則上の不備や日ごろの労務管理の不備、コンプライアンス教育の不十分のために生じています。さらには顧客とのトラブルも、顧客対応マニュアルや紛争予防教育の不備によって生じています。
 これら紛争は、いったん生じると何らかの解決に至るまでそれなりの期間が必要な上、社内の人員を割かざるを得ないし、費用も要します。しかも、これらの負担をしたとしても、いずれも企業に生じたマイナスが本来の状態に戻るにすぎません。
 しかも、ケースによっては紛争が長期化するなどし、想定した以上のマイナスになり、それが本来の状態にまで戻らないことすらあるのです。
 そう考えると、そもそもこのような紛争を生じさせないことがとても大切だと言えないでしょうか。
 そして、このような紛争の未然予防は、数多くの様々な紛争解決のプロフェッショナルである弁護士だからこそ可能なのです。言い換えると、多くの紛争を知る弁護士だからこそ、その原因を熟知しており、紛争予防のための十分な助言が可能なのです。

 ⑶生じた紛争にすみやかに対応できる

 しかし、紛争はいつどうして生じるかすべてを予想することはできませんし、いくら有能な弁護士であってもすべてを予防することもできません。

 そのため、いざ紛争が生じてしまった場合には次に、いかにして生じた紛争にすみやかに対応し、いかにすみやかに鎮静化させるかが大切です。
 この点、やはり日ごろから顧問契約を締結していれば、生じた紛争をすぐさま顧問弁護士に相談ができます。当然、生じた紛争の解決をすみやかに解決するには初動が大切ですから、弁護士への相談も早いに越したことはありません。
 ところが、顧問弁護士との契約がなければ、一から弁護士を探し、やっと予約をとり、その上、自社の抱える問題や生じた紛争について一から説明をし、何とか状況を理解してもらった上で初めてアドバイスをもらえるにとどまります。
 考えてみても、ただでさえ紛争が生じてしまった最中でこれだけの労力を割くことが、如何に大変か分かると思います。
 そのため、紛争が生じた場合に備えて顧問弁護士との契約を交わしておくことはとても有益だといえます。

 ⑷会社の実情を踏まえた相談や紛争対応ができる
 上記とも関連しますが、顧問弁護士との顧問契約は継続的な契約なので、顧問契約の際やその後の企業とのやりとりないし相談を通じて、企業と弁護士との間では情報や意見交換が進み、会社や企業の実情の理解が進みます。
 また、紛争予防の観点から、日ごろから契約書のチェックなども担当していれば、その後に生じてしまった紛争についてもすみやかに相談対応、紛争対応が可能です。
 このことは、個別の契約書の作成やチェックの都度、個別に弁護士への相談をお願いする場合や、実際の紛争の際に個別に弁護士への相談や依頼をお願いする場合と比較してとても大きなアドバンテージになることは明らかです。
 企業として、自社の実情や意向を踏まえた解決と、そうでない解決とでは前者を希望するのは当然のことだと思います。

 ⑸従業員の福利厚生になる
 顧問弁護士との顧問契約の内容にもよりますが、今どきは顧問契約の内容として、企業に所属する従業員や場合によってはその家族が顧問弁護士に個別の個人的な法律相談を依頼することが可能な場合があります。
 これは、企業に所属する従業員が抱えた個人的なトラブルや悩みを顧問弁護士が聞き、助言をすることで少しでもその従業員の負担を軽くし、業務に専念できるようにするための制度です。
 結果、有能な従業員が存分にパフォーマンスを発揮できるようにし、また人材の確保や人材流出の防止に繋がり、人材確保の観点から企業経営上の大きなメリットがあります。

 ⑹会社のブランド維持に繋がる
 顧問弁護士との契約をしている中小企業は、全体からするとまだまだ少数なのが実情ですが、そういう中で顧問弁護士との契約をしていることは企業にとって自社の対外的な信頼性確保やブランド維持ないし向上に役立つことは明らかです。
 企業にとってブランド価値の向上は、取引先に対する優位性をもたらし、企業に所属する従業員や顧客満足に繋がります。そのため、自身をもって会社のサービスを売り込むことも可能となるのです。
 これは、「顧問弁護士に守られている」と言い換えることも可能であり、顧問弁護士がいるからこその価値そのものだといえます。
 なお、最近ではインターネット上の掲示板やGoogleの口コミ、転職サイトや各種SNSを通じた企業に対する誹謗中傷が後を絶ちませんが、顧問契約の範囲内でこれら書き込みに対するリサーチや削除対応を請け負う弁護士も増えていますので個別誹謗中傷対策にも顧問契約が有効なケースが増えています。

 ⑺安心して経営に専念し、売り上げ向上や事業発展が実現できる
 以上のように、複数の観点から顧問契約のメリットを掲げてきましたが、ここで掲げている以外にも実はまだまだ無数の顧問契約上のメリットがあります。
 たとえば法務部を立ち上げて、法務部の従業員を一人雇うとなると、年間数百万円は必要になりますが、顧問弁護士は実は数百万円もかかりません。かつ、顧問弁護士は当然の事ながら弁護士という国家資格を持ったプロフェッショナルです。そう考えると顧問契約の費用についても実は相当、安価だといえるのです。
 当然、顧問料は経費として損金処理の対象にもなります。
 このように、多々ある顧問契約のメリットを踏まえると、結果的に安心した経営環境の構築に繋がり、従業員の士気も向上し、自社の売り上げ向上や事業発展に繋がることは明らかです。

3 顧問弁護士を依頼する場合の一般的な費用相場について
 顧問弁護士の費用は通常、月額いくらということで決まっています。その金額は、法律事務所や弁護士によって、また顧問弁護士が提供するサービス内容や時間によって変わってくることが通常です。
 その際、契約書のチェックについては月に何回までは顧問料に含めるとか、誹謗中傷の削除は月に何回までは顧問料に含めるとかという形で個別の金額が決まっていることが多いです。
 当然、提供するサービスの内容が増えれば月額顧問料も増えることとなります。
 その上で月額顧問料としては数万円から数十万円あたりが大まかな相場といえます。
 なお、顧問契約を締結していることに伴い、顧問料金でのサービスを超えた部分で個別の事件の依頼をする際に、顧問契約をしている場合には着手金を割り引くという契約にしている場合も少なくありません。

4 顧問弁護士選びのポイントについて
 ⑴自社が抱える法律問題を明確化する
 顧問弁護士選びの際にまずもって大切なことは、企業が抱える法律問題を洗い出し、明確化することです。すなわち、日々作成している契約書のチェックが必要なのか、自社製品に関し、模倣品や類似品について不正競争防止法違反の有無を明らかにしたいのか、自社で有する著作権管理や著作権侵害への対応をお願いしたいのか、従業員の労務管理上の問題に対応したいのか、顧客等による誹謗中傷への対応が必要なのかなどを明らかにすることです。
 こうして自社で抱える法律問題を明確化することで、初めてどのような弁護士に顧問弁護士を選ぶのかが判断できるからです。
 言い換えると、弁護士もそれぞれ得意とする分野、経験してきた分野に違いがあるので、自社のニーズを明らかにすることで初めて自社に相応しい顧問弁護士を選ぶことができるのです。

 ⑵自社が抱える法律問題を扱う弁護士を選ぶ
 以上を前提として、自社が抱える法律問題を扱う弁護士を選んでください。その際には紹介による方法でも構いませんし、ウェブサイトを閲覧し、当該弁護士の得意分野や取り扱い分野を踏まえて決めても良いと思います。

 ⑶自社の事業内容、価値、ブランドや目指す方向性を理解してくれる弁護士を選ぶ
 仮に自社の抱える問題を明確化し、その分野を扱う弁護士を見つけたとしても、自社の事業内容や価値などに共感のできない弁護士は顧問弁護士にするべきではありません。
 顧問弁護士は企業のパートナーとも言うべき存在であり、多くの件では長い期間の付き合いになることから、企業の価値や方向性を理解し、共感してくれる弁護士と顧問契約を交わすべきです。

 ⑷コミュニケーションがとりやすい弁護士を選ぶ
 以上に加えて、企業経営上、法律相談は不意に生じることがあるので顧問弁護士とのコミュニケーションはいつでも容易にとれることが望ましいです。そのための方法やツールはもちろん、意思疎通の際にスムーズにやりとりができるかどうかを確認するようにしておいてください。

 ⑸サービス内容と顧問料のバランスが自社にとって許容範囲の弁護士を選ぶ
 最後に、いくら自社の抱える法律問題について詳しい弁護士に出会え、コミュニケーションもとりやすいとしても、企業の経営規模に照らして不相当な顧問料が生じるようでは顧問契約の締結はお勧めできません。
 顧問契約は長期に渡ることが大半なので、自社が求めるサービスを自社の規模に照らして妥当な金額で提供してくれる法律事務所を選ぶようにしてください。

5 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所を顧問弁護士にした場合のメリットについて
 当事務所はこれまで、労働紛争、契約書のチェックや作成、イラストレーターの方の著作権侵害、企業の誹謗中傷対策などの取り扱いがあります。そのため、とりわけインターネット上の誹謗中傷も含めた顧問弁護士としての対応をご希望の企業には、月々の顧問契約の範囲内でインターネット上の誹謗中傷投稿の定期的なリサーチや削除申請を含めた法律顧問契約の締結が可能です。
 日々の業務に伴い、不意に生じてしまった誹謗中傷問題に、これ以上頭を悩ませるのではなく、この分野に詳しい弁護士との顧問契約を通じて安心の企業経営を実現することが可能です。


執筆者;弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)

1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所

 

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