不動産業

1 不動産業の概況について

不動産業は、全産業法人数に占める割合が長期に渡り増加し続けている産業です。

具体的には、平成19年当時は、不動産業は全産業法人数のうち10.6%でしたが、その後も増加を続け、令和3年時点では12.8%を占めるに至っています。

不動産業以外の産業として、たとえば卸売・小売業は、平成19年当時は25.1%でしたが、令和3年時点で20.5%と減少しています。

また、全国の地価動向は令和4年地価公示によると、全用途平均・商業地のいずれも2年ぶりに上昇に転じています。

さらに、住宅需要も回復し、地価は上昇し、商業地でも上昇に転じた地点が多く見られています。

このような不動産業に関しては宅地建物取引業法の規制がありますが、同法違反の業者に対しては厳格な監督処分がなされています。具体的には、令和2年度の監督処分件数は161件となっています。

2 不動産業の特徴について

不動産業は、賃貸物件の場合であれば日々生じる入居者との関係が問題となりやすい業種です。そこでは、入居の際の賃貸借契約書の締結、敷金の扱い、入居中の遵守事項の懈怠やマナー違反への対処、賃料の不払い、退去時の清算など入居から退去まで常に問題がつきまといます。しかも、入居者の数は多く、その管理だけでも相当な負担です。

他方で売買物件の場合であれば、契約適合責任の問題が生じ得ます。

その他にも雇用している従業員との労務問題も避けられない法律問題となります。特に、販売ノルマを課された営業職員による長時間労働、未払い賃金の問題や、営業成績のためと称したパワハラの問題も少なくありません。こうした不動産業の特徴から、不動産業界は「体育会系」と言われることもあり、パワハラに限らずセクハラの問題を抱えていることもあります。

3 不動産業において発生しやすい法的トラブル

こうした不動産業の特徴からは以下のような法律問題が潜在化しているといえます。

①契約書作成上のトラブル
②未払い賃料回収上のトラブル
③退去明け渡しを巡るトラブル
④労務問題(未払い賃金、パワハラ、セクハラ、解雇)

4 不動産業特有の法的問題への弁護士による対応

こうした特徴を有する不動産業に対して、顧問弁護士であれば、日々生じる入居者とのトラブル、敷金の清算、未払い賃料の問題、労務問題などに即座に対応が可能です。入居者とのトラブルや敷金の清算などは、その金額の多寡の問題から顧問弁護士であれば相談をしやすい反面、顧問契約をしていない弁護士への相談をすることは手間であったり、費用の問題が生じたりします。そのため、不動産業におけるこれらの相談はとりわけ顧問弁護士の役割が活きてくるといえます。

また、未払い賃料は時が経つほど未払い額が増え続けていくことから、早急に有効な手立てを講じる必要があります。当然、退去の対応についても同様です。

そして、未払を理由とした退去に際しては、借地借家法の適用に伴い解約の可否を慎重に検討することが重要です。そこでは信頼関係破壊法理についての裁判例の理解が重要になります。

したがって、当該企業による今までの借主との関係をしっかりと理解した上での対応が重要になるのです。

他にも労務問題に関しても顧問弁護士として適切なタイミングでの対応が可能です。

不動産業における上記のような法律問題に対して、問題が生じた際にその解決のために弁護士に相談、依頼をすることも可能です。入居者に対する未払い賃料の請求や、解約、退去などのために法的手段を講じることが可能です。退去の際には債務名義の取得や強制執行の手続という複雑な法的措置が必要になるため、弁護士への依頼が重要です。

また、労務問題が法的紛争になった場合には、企業活動の維持や負担すべき解決金を最小限に抑えるために弁護士への依頼が重要です。

5 弁護士に依頼するメリット

以上のような不動産業の問題に照らし、必要な助言や対応をその都度とるために、不動産業の顧問契約の経験のある当事務所にご依頼頂くことは安心して事業を継続するために非常に有効だといえます。

6 まずは弁護士にご相談ください

不動産業の経営者の方は、ご自身の抱えた各種法的トラブルについて、お気軽にお問い合わせください。