運送業

運送業

1 運送業の概況について

(1)国内貨物輸送量について

日本における国内貨物輸送量は、令和2年度において、トンベースでは年間約41億トン、トンキロベースでは年間約386億トンとなっています。

この貨物輸送量のうち、自動車がトンベースでは9割以上、トンキロベースでは5割以上を占めています。

そしてこれらの数値はここ数年の間、ほぼ横ばいで続いている傾向にあります。

こうした自動車による運送を業とするトラック運送業は、99.9%が中小企業とされています。

(2)トラックドライバーの現状について

次に、中小企業で成り立っているトラック運送業を支えるトラックドライバーの現状についてですが、昨今、働力不足が言われています。

原因として、トラックドライバーの労働環境の指摘があり、労働時間(拘束時間)が長いこと、賃金が低いことが指摘されています。

具体的には労働時間については、全産業と比較して、中小型トラック運転手で月31時間、年372時間も、大型トラック運転手で月36時間、年432時間も長いという傾向にあります。

それにもかかわらず賃金については、全産業と比較して、中小型トラック運転手で約12%低く、大型トラック運転手で約5%低いという傾向にあります。

こうした問題に対処するために、物流の2024問題もあり、物流業界においては、人材確保のための工夫ないし努力が求められているところです。

しかし、そもそもトラック運送業の営業費用の約4割は運送に係る人件費であり、かつ燃料高騰問題も加味すると、人件費をさらに増やすことは容易でない状況にあります。

結果、トラック運送業においては約45%は40歳から54歳の年齢層が占めており、29歳以下の若年層は全体の10%以下です。さらに、女性の割合は2.5%に過ぎず、全産業と比較して極めて低い状況にあります。

有効求人倍率も全産業で1.35にとどまるのに対して貨物自動車運転手については2.68という極めて高い数値を示しているのです。

行政ではこのような状況に照らし、荷待ち時間の短縮や、運賃への反映、働きやすい職場環境の整備などの取り組みを進めているところです。

(3)燃料高騰問題

トラック運送業においては、燃料として軽油を使うことが多いのが実情であるところ、燃料費については社会情勢、世界情勢に大きく影響を受けやすいという特徴があります。

特にここ数年ではウクライナ情勢に照らし、燃料費の高騰が続いています。

こうした燃料費の問題は、トラック運送業社自身における経営努力により根本的に解決することができない問題であり、常に経営者の頭を悩ませる問題となっています。

2 運送業の特徴について

運送業は車の運転を伴う事業であること、荷主から荷受先までいくつかの配送業者が介入するケースがあること(多重下請け構造)、昨今の人手不足の影響が深刻な反面、労働時間規制の厳格化という問題を抱えているという特徴を持つ業種です。

運送業は車の運転を伴う事業である以上、常に交通事故のリスクを考慮する必要があります。交通事故を無くす、減らすためには優秀なドライバーを雇うこと、労働時間管理や飲酒検査を含めた安全運行上の管理や教育を徹底すること、信頼できる取引先に限り配送委託をすること、過大な要求をする取引先との関係を改善することが重要です。

また、働き方改革関連法の適用により改善する見込みはあるものの、本来的に長時間加重労働の現場である運送業においては荷上げや荷下ろしの際を含めた労災事故も少なくありません。

3 運送業において発生しやすい法的トラブル

こうした運送業の特徴に照らし、運送業においては、以下のような法律問題が潜在化しているといえます。

①労務問題(未払い賃金や解雇、労災などの問題)

運送業は、長時間労働になりがちであること、運行記録などから実労働時間を容易に立証可能なこと、転職が多く不満を持ったドライバーが転職をきっかけに会社に未払賃金を求めるケースが多いことという特徴があります。また、賃金や待遇を巡り、会社と紛争になることも少なくありません。

その他、労災をきっかけとした労災申請上の問題や、会社の安全配慮義務違反を問う損害賠償請求も少なくありません。 

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労務問題

②契約書の作成、チェック(請負先などとの契約上のトラブル)

運送業では、請負先との間で、荷送料や会社の落ち度で配送遅延が生じた場合や貨物に損傷を加えてしまった場合などに関する契約書をきちんと作成しておくことが重要です。当然、取引先から提示された契約書については、しっかりと内容をチェックし、自社に不利益がないかを確認することが大切です。

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契約書の作成・チェック

③損害賠償問題(交通事故に伴う賠償問題)

事故に伴う損害賠償については、主として加入している損害保険により対応をとることと思いますが、必ずしもすべての賠償金が支払われるとも限りません。そうした状況の中で会社として具体的にどこまでの損害を負担すべきか、もしくは求めるかという問題が生じます。当然、損害保険により支払いがなされるケースであっても、具体的な損害額や過失割合を巡り紛争となることも少なくありません。

④債権回収(配送料、委託料、損害賠償等)

当初交わした契約通りに運送をしたにもかかわらず、約束通りの支払いがなされないというケースも少なくありません。その場合に具体的にどのようにして債権回収を図るかという問題が生じます。

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債権回収

⑤行政対応

4 運送業特有の法的問題への弁護士による対応

①労務問題(未払い賃金や解雇、労災などの問題)

ア 未払い賃金について

トラック運送業においては、営業費用の約4割が人件費です。また、燃料高騰、競争激化の中で、荷主に対して配送料の値上げを求めにくい実情があります。さらに、荷受け時間については労働時間に該当するのか否か、これに対して賃金を支払うべきか否かという問題があります。

こうした実情の中、本来払うべき賃金を払わずにいるとある日突然労働者から未払い賃金の請求を受けることがあります。

特にトラック運送業においては、多数の労働者が似たような労働条件で働いていることが多く、横のつながりも強いことから、同時に複数の労働者から同様の請求を受けることが少なくないという特徴があります。

これら未払い賃金の問題については、弁護士を通じての示談交渉や、労働組合を通じての団体交渉により解決を求められることもあります。

また、労働審判の申立によることも少なくありません。当然、経営者としてはこれらの問題を無視するわけにはいかないので、忙しい業務の合間を縫っての対応が必要となります。

とりわけ、そもそも人手不足が深刻な現場であれば、未払い賃金の問題によりさらに人手不足に陥りかねません。

そのため、問題を可及的速やかにかつ企業に有利に解決するため、弁護士に依頼をしての解決が望ましい問題と言えます。

特に未払い賃金の計算は労基法や裁判例に照らしての厳密な判断が求められます。労務問題に詳しい弁護士への相談や依頼が有効です。

イ 解雇について

トラック運送業においては、人材不足を背景に、トラック運転手の人材の流動性が高いという特徴もあります。企業としても人手不足のため、応募に対して低いハードルで採用を決めることも少なくありません。

その結果、問題のある社員を抱えることにもなりやすく、事後の経営上のため解雇に踏み切るケースも少なくないです。

しかし、その解雇の当否については労基法や労働契約法、労働事件の各裁判例に照らして、厳格に判断がされます。

そのため、会社としては有効だと思った解雇が無効とされ、多大な解決金(解雇した労働者の賃金の6か月から12か月程度となることが多いが、争いが長期化するとさらに長期化した分だけ増える)を負担せざるを得ないという結果があり得るのです。

こうした思い違いを生じさせないためには、そもそも当該解雇が本当に有効とされるのかどうかを事前にしっかりと見極めることが重要です。

そのためには労務問題に詳しい弁護士にしっかりと相談をしておいてください。

仮に解雇後に解雇無効を争われた場合も、労務問題に詳しい弁護士への依頼が重要です。自社の言い分を法的にきちんと構成し、有利な解決、最善の解決に導いてくれます。

ウ 労災

トラック運送業では重い荷物を扱うこと、長時間に渡る過密労働であることから労災事故が避けて通れません。

こうした労災の問題について、安全配慮義務違反の有無を巡り会社と労働者とで争いになることも少なくありません。

そこで、このような労災の問題が生じた際にも、労務問題に詳しい弁護士への相談をお勧めします。

②契約書の作成、チェック(請負先などとの契約上のトラブル)

運送契約の締結に際して、発注書、受書などにより依頼を進めることが多いと思います。

ただ、長期に渡る継続的運送契約などを中心として、契約書の作成は自社の利益を守るために重要なことです。

この機会に契約書作成の要否を改めてご検討いただくことをお勧めします。

当事務所であれば、各種トラック運送業の種別に応じて契約書の作成が可能です。当然、契約書の内容のチェックだけでも対応できます。

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契約書の作成・チェック

③損害賠償問題(交通事故に伴う賠償問題)

トラック運送業が車を扱う仕事である以上、事故を完全にゼロにすることは困難です。

当事務所では、これまで多数の交通事故事案の経験があるので、トラック運送業の方が抱える交通事故の問題にも適切に対応が可能です。

④債権回収(配送料、委託料、損害賠償等)

トラック運送業は中小企業が大半を占めていることから、配送料の不払いや、預けた荷物の棄損等に伴う損害賠償の問題が生じやすいと言えます。

こうした債権の回収については、債権回収に経験のある弁護士を通じての回収が有効となります。

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債権回収

⑤行政対応

当事務所では、トラック運送業の方の行政対応についても相談対応が可能です。

5 弁護士に依頼するメリット

以上のように、トラック運送業においては、日々、多くの法律問題と背中合わせの状況にあります。

こうした多くの法律問題を抱えながら日々の多忙な業務をこなすことは、さらなる法律トラブルを生じさせるリスクがあると言えます。

そのため、抱えた法律問題は専門の弁護士にすべて委ね、経営者の方は本来の業務に専念してもらうのがベストだと言えます。

その結果、リスクを少なく経営上の成果を上げることが可能になると言えます。

6 まずは弁護士にご相談ください

トラック運送業の経営者の方は、以上のように多くの法律問題と常に背中あわせとなっています。

そうした悩みを常に気軽に相談できる、任せることのできる弁護士、とりわけトラック運送業の実情に詳しい弁護士への相談をお勧めしています。