1 著作権対応について
(1)著作権の重要性について
著作権は企業のイラスト、文章、動画や音楽などの各種作品やコンテンツ、プログラムなどを保護するために非常に重要な権利です。
ところが、この著作権については世間でも企業でもまだまだ意識が乏しく、十分にその権利が守られていない実情があります。
また、デジタル社会、インターネット社会の現代においてはデジタルコンテンツを中心としてコピー&ペーストが容易になり、権利侵害が横行しやすいという特徴もあります。
こうした実情を踏まえると、自社の著作物を著作権法に基づきしっかりと守ることがまずは非常に重要になります。
(2)自社の著作権を守るために必要なこと
具体的には自社のコンテンツ等をどの範囲で利用できるようにするか、契約書などを通じて取引先との間で明確に取り決めをすること、自社のコンテンツ等に対する無断利用等が見つかった際には無断利用者に対して警告書などを発送して無断利用の差止などを求めることが必要です。
場合によっては差止を求める仮処分、損害賠償請求訴訟などを起こすことも検討が必要です。
(3)自社が著作権侵害をしてしまった場合の対応について
反面、企業がいつの間にか他社(他者)のコンテンツを侵害(もしくはそのおそれ)しているケースも少なくないことから、他社(他者)から著作権侵害の警告を受けるケースも増えています。
こうした場合には、自社が本当に著作権侵害をしてしまっているのかを十分に確認した上での対応が求められます。
ちなみに、自社が著作権を侵害しているケースで多いのは、インターネット上で公開されているコンテンツについて、無償利用の可否を十分に確認せずに用いたところ、それが実は有償であったようなケースです。
このようなケースについては、岡山市によるネットイラスト無断使用についての事例があるので詳しくはそちらもご参照ください。
2 著作権対応を放置する企業にとってのリスク
著作権は、これを主張する側であろうと、主張される側であろうと、自社の利益のために重要な影響をもたらします。
そのため、事前には著作権侵害をされない、しないことが重要です。また、事後には侵害された著作権を早急に差し止めること、生じた損害賠償を求めることが重要です。
さらに、著作権侵害をしてしまった場合には、早期に著作権の侵害状態を解消すること、妥当な内容での使用料や損害賠償金を支払うことが重要です。
こうした対応を怠ることは、企業の著作権という知的財産権を無条件に流出させることに繋がり、企業に大きな損害を与えます。
当然、企業に所属し、日々制作活動に勤しんでいる従業員やクリエイターのモチベーション低下にも繋がり、生産性に大きな影響をもたらします。
また、著作権を侵害してしまった場合には、適切な対応をとらないと企業イメージの悪化につながります。
3 弁護士による著作権対応
(1)著作権侵害をされた企業における弁護士対応とは?
以上の著作権の問題に対しては、弁護士による対応も有効です。
とりわけ、自社の著作権を侵害されたとして、侵害者に対して対応を求める場合には、弁護士を通じて著作権侵害の具体的根拠を示しての主張が重要です。
すなわち、
①そもそも当該コンテンツについて著作権が成立するのかどうかという問題
②当該コンテンツに著作権が成立するとして著作権法に定める引用などを根拠とした著作権制限規定に該当するかどうかという判断
これらはいずれも法的に難しい解釈を含むことから、この分野に詳しい弁護士への相談と対応の依頼が重要になるのです。
また、著作権侵害を前提として、法的に後は何を求めることができるのか、損害賠償を求めるとした場合にはどのような計算で、いくらの請求になるのかなども判断が難しい問題です。
したがって、これらの複雑な問題を詳しい弁護士に一任することで、企業としては安心して本来の企業活動に専念することが可能となるのです。
(2)著作権侵害をしてしまった(もしくは著作権侵害を疑われている)企業における弁護士対応とは?
この場合には、そもそも本当に自社が他社(他者)の著作権を侵害してしまっているのかの法的判断が重要です。
上記のように、著作権法には他人の著作物の引用等を始めとした制限規定があります。
また、そもそも他人の著作物を参考にしつつも、いわゆるそのままコピーしたのではなく、パロディもしくは参考にして新たな作品等を作成した場合にも著作権侵害にはならない場合が多々あります。
したがって、安易に著作権侵害を認めるのではなく、まずは主張に対してそれが法的に根拠を伴う権利侵害か否かを厳密に判断することが大切です。
その上で仮に著作権侵害であることは避けられないとしても、具体的に負担すべき損害賠償額はいくらが妥当なのかの判断や交渉も重要です。
それにもかかわらず安易に応ずれば、企業としては大きな損失を被ることになりかねません。
したがって、著作権侵害を主張された企業においても、慎重な対応、弁護士への相談が重要になってきます。
4 まずは弁護士にご相談ください
以上のような著作権侵害の問題に対しては、そもそも著作権侵害をしないことが重要であることは当然とし、そのために何を注意すべきかを日ごろから意識しておくことが大切です。
当然、自社の権利をしっかりと守るために著作権に十分配慮された周到な契約書の用意や、チェックは重要です。
次に、他社による著作権侵害の有無を日ごろからチェックできる体制づくりも重要になります。自社の著作物が他社(他者)に悪用、無断利用されていることを知らない、気付かないままでは自社の権利を守ることはできません。
続いて、生じた著作権侵害の問題に対してはこの分野に詳しい弁護士による相談、助言が重要です。日ごろからこの分野に相談できる弁護士との顧問契約をお勧めしています。