相談者:50代
男性
相談者の会社は、取引のあるA社から、A社の資金繰りに協力するためA社所有の重機を約1000万円で購入しました。
ところが、後に判明したところでは、A社は実は相談者の会社に譲渡する以前にB社にこの重機を売却していました。
ただし、B社はA社から譲渡証明書を受け取らずにいたところ、相談者の会社はきちんと譲渡証明書を受けていました。
そこでB社に対して重機の引き渡しを求めましたが、すでにB社はC社に重機の保管をゆだねていました。
やむなくC社に対して占有移転禁止の仮処分を申し立て決定を受けました。
同時にD社に通知を送るなどし、重機の任意での引き渡しを求めましたがC社は応じませんでした。
そこでC社とB社に動産引き渡し請求訴訟を起こし、その結果、最終的に任意での引き渡しが実現しました。
解決
とった手段 | 仮処分、民事訴訟 |
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解決までの期間 | 約5カ月 |
結論 | 重機の取り戻し、所有権の確定 |
アドバイス
重機については譲渡証明書により誰が所有者かを明確にすることとなっています。本件ではきちんと譲渡証明書を受けていました。
ところが、売り主は資金繰りのためにこれを二重譲渡していたことから、その後の取り戻しのために各種法的手続きをとりました。
本件ではC社がさらに他所に持ち込むなどすることを恐れ、早急に仮処分を起こしました。
これが功を奏し、最後まで重機の所在は保全できたまま回収に繋がりました。
なお、本件では相談者の会社はいずれの法律事務所とも顧問契約を交わしていませんでしたが、仮に顧問契約を締結し、日ごろから高額な取引や慎重な判断を要する取引についても弁護士に相談し、契約書の作成などの手続きに関与をしてもらっていればそもそもこの度のような二重譲渡の被害に合わずに済んだ可能性が高いといえます。