労働組合の専従職員からなされたパワハラ及び名誉棄損の請求を排斥した事例

相談者:50代  男性
当該労働組合内部にて、長年稼働している書記が会計上の不正を働いているとの疑念が生じました。その調査のために当人に事情を聴取しようとしましたが、事情聴取を拒否したり、体調不良を理由とした病気休職、病気休暇の申請を続けました。 この事情聴取のために連絡をしたことなどに関し、体調が悪いのに不当に拘束して事情を聞こうとしたなどとし、パワハラの主張がなされました。 また、不正会計問題について臨時総代会の開催がなされ、その場で配布された報告文書や報告の内容に関し、名誉棄損の主張がなされました。
解決

労働組合の書記として稼働する職員が、労働組合の役職者らからパワハラ、嫌がらせを受けたとしてその損害賠償を求め、かつ労働組合の臨時総代会の場で配布等された報告文書の内容が名誉棄損に該当するとして損害賠償や謝罪を求めた事例です。

従業員が求めた内容 パワハラ、名誉棄損を理由とした損害賠償と謝罪
法的手続き 訴訟
結論 いずれの主張も排斥
アドバイス
いわゆる問題社員対応について苦慮した事案です。当初、疑いをもった組合では当該従業員に個別に事情聴取等を試みましたが、前に進まず、弁護士介入となりました。 弁護士からは、事情聴取の際の注意点や配布文書の内容や報告方法について細かく助言を重ねました。 その結果、いずれの争点についても法人の言い分が認められました。 得てして不正を疑う会社の立場からは、当該従業員に対して厳しい追及になりがちで、その結果としてパワハラを主張されることがあります。 そして、行き過ぎた事情の聴取はたしかにパワハラに該当するケースがあり得るので非常に注意が必要です。 名誉棄損についても同様に、「書きすぎない」ことが必要で、感情をうまく殺しながらどの程度の表現までなら許されるのかの法的判断が必要です。