1 建設業の概況について
(1)建設業の役割について
建設業は、地域のインフラの整備、メンテナンス等の担い手であると同時に、災害時には最前線で地域社会の安全・安心の確保を担うという役割を有しています。
これらは、国民の生活や地域経済を支える非常に重要な役割です。
(2)建設業の課題について
このような建設業には、以下のような課題が山積しています。
①働き方改革を通じた労働者の確保
②生産性の向上
③持続可能な経営環境の確保
①については、建設業従事者の約25%が60歳以上で構成され、29歳以下は約12%に過ぎないという課題があります。
②については、①にも関連しますが、建設業の生産性向上を通じて工期の短縮等を図り、働き方改革にもつなげることが大切とされています。
③については、地方を中心として、インフラの担い手である建設業がこれからも経営環境を安定させて存続することがとても大切です。
2 建設業の特徴について
建設業の特徴は、あらゆる場面での機械化が進んでいるものの、最後は人の手による作業が必ず必須になることから、多数の人手が必要であること、職人による技術の差が大きいこと、業務内容によっては資格が必要な作業が少なくないこと、建設現場における事故のリスクが少なくないこと、複数の請負契約が絡むことが少なくないこと、工事完了から請負代金の支払いまでの期間が長いこと、契約書の作成があまり進んでいないこと、という点にあります。
他方で、前項で述べたとおり、建設業における人手不足は深刻です。
また、高齢の作業員に難易度の高い作業が多く委ねられ、若い世代への技術承継も十分には進んでいません。
さらに、元請けから下請けまでの間に複数の業者が入ることが少なくなく、請負代金の支払いを巡りトラブルになることも少なくありません。
3 建設業において発生しやすい法的トラブル
以上のような建設業の特徴に照らし、建設業では以下のような法的トラブルが生じがちです。
①労務問題(労災事故、解雇、未払い賃金など)
建設業は、労災事故が少なくないという特徴があります。また、雇用契約なのか請負契約なのかを巡って労働者とトラブルになることも少なくありません。
②債権回収(元請けによる不払いや元請けの倒産ないし破産)
建設業においては、多重下請け構造もあり、元請け企業が自社に対する支払いをきちんとしなかった場合に如何にして債権回収を図るかを常に意識する必要があります。
最悪の場合には元請けが倒産ないし破産するなどというケースもあり、そうした状況を如何にして避けるか、日ごろの意識や法対応が重要です。
③契約書の作成上のトラブル
建設業においては、明確に工事内容を書面に残さず、口頭でのやりとりだけもしくは請求書にて初めて契約内容を明らかにするケースも少なくありません。
しかし、このようなケースでは事後に請負工事の内容や請負代金を巡って紛争になることがあり得ます。
したがって、契約書の作成の必要性を強く意識し、契約内容を巡ってのトラブルを如何にして避けるかが重要です。
④顧客からのクレーム
建設業界においても、他の業界と同様に顧客からのクレームは避けて通れない問題です。
建設業では、今目の前にある商品を顧客に売るという小売業と異なり、今目の前にないものを顧客の要望に沿うように作成し、引き渡すという点に特徴があります。
そのため、請負工事の当初から業者は発注者と綿密に打ち合わせを繰り返し、図面を引き、工事の途中でも何度も繰り返し打ち合わせを行い、必要に応じて変更した図面を引くことなどが必要です。
ところが、どれだけ丁寧に打ち合わせを繰り返し、図面を引いたとしても、建設業における提供商品が複雑な建築物であることから、注文主との間で認識の相違が生じることは避けられません。
加えて、建設業で扱う取引額は、大きなものとなることが多く、顧客からすると場合によっては一生に一度の買い物となることもあり、強いクレームに繋がることも多いのです。
当然、正当なクレームには真摯に耳を傾け、対応すべき点は対応する必要がありますが、悪質なクレームやカスタマーハラスメントに対しては法的な対処も含めた検討が必要になります。
4 建設業特有の法的問題への弁護士による対応
建設業特有の法的問題に対しては、建設業の相談経験、対応経験のある弁護士への相談が有益です。
①労務問題について
労務問題については、建設業者と労働者との契約が、労働契約、雇用契約なのか請負契約なのかを大前提にし、当該建設労働者との賃金や請負代金の支払いを巡るトラブル解決が可能です。
また、解雇や未払い賃金の問題についても、建設業の実情に応じた解決が可能です。
②債権回収について
元請けからの請負代金の不払いを巡る争いについては、内容証明郵便の送付、保全手続き、民事訴訟、執行手続きなどの法的手段を通じた回収方法があります。
これらを駆使しながら最短での回収を目指すことが可能です。
③契約書の作成上のトラブル
請負契約を締結するに際して必要な契約書の作成や内容のチェックについても当事務所で対応が可能です。
④クレーム問題について
クレーム問題について、事業者にて対応が可能な問題は事業者にて対応をすべきですが、悪質なクレームやカスタマーハラスメントにまで至ってしまったケースでは弁護士による助言も有効になってきます。
また、単なる助言で解決が済まないほどに悪質化した場合には、弁護士による通知書の送付などを始めとして法的な処置をとることを考えるべきです。
そうすることで悪質なクレームやカスタマーハラスメントに厳正に対処をすることが可能となり、従業員を守り、会社を守ることが可能となります。
5 弁護士に依頼するメリット
建設業の抱える法的トラブルについては、建設業の問題に詳しい弁護士にご相談ください。建設業が抱える数々の法的トラブルをその経験に基づき個別に助言が可能です。
6 まずは弁護士にご相談ください
建設業のお悩みについては、この業態に詳しい弁護士にお気軽にご相談ください。
どのような問題についても、最善のアドバイスが可能です。