このコラムについて
この記事では、カスハラ対応にお困りの会社経営者の方やご担当者様に向けて、カスハラ対応に強い弁護士の経験に基づきカスハラ対応の実際などの情報を詳しく解説しています。
カスハラは極めて理不尽なトラブルの一つですが、企業として誤った対応をとると損害賠償や従業員の離職など大変な問題に繋がります。現在、多くの業種でこの問題が注目されており、特にサービス業や接客業関連の現場で著しく顕在化しています。
とりわけ、従業員の自殺がカスハラに起因するとして労災を認めた事例も生じており、企業としての対応が強く求められるようにもなっています。
かかるカスハラ問題にお悩みの方はこのコラムをしっかりとお読み頂いたうえで参考にしていただき、適切なカスハラ対策を今すぐ実施してみてください。
1 カスタマーハラスメントとは何か?
(1)カスタマーハラスメントの定義について
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは?
カスタマーハラスメント(カスハラ)とは、直訳すると「顧客による嫌がらせ」を意味します。
より詳細には厚労省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」において以下のように定義されています。
「顧客等からのクレーム・言動のうち、当該クレーム・言動の要求内容の妥当性に照らして、当該要求を実現するための手段・態様が社会通念上不相当なものであって、当該手段・態様により、労働者の就業環境が害されるもの」
カスタマーハラスメント対策企業マニュアル より
(2)カスハラ定義の3要素について
この定義からは、カスハラ該当性は以下の3つの要素に分けることができます。
① 当該クレーム・言動の要求内容の妥当性
② 当該要求を実現する手段・態様の相当性
③ 当該手段・態様により労働者の就業環境が害されるもの
これら3つの要素に基づき、①要求内容が妥当であり、②手段・態様も相当であり、③結果として労働者の就業環境が害されないものであれば当然、カスハラには該当しません。
他方で、①要求内容が不当である、②手段・態様が不当であるなどの結果、③就業環境が害されることとなればカスハラに該当することとなります。
この場合に、①要求内容が相当であっても、②手段・態様が不当である場合もカスハラに該当します。
①要求内容が不当であり、②手段・態様が相当な場合も同様です。
このようにカスハラとは、一般的なクレームとは異なり、顧客が企業の従業員に対して不当な要求や言動を行う迷惑行為であり、その結果として労働者の就業環境が害される行為を指します。
社員のキャリアや個人的事情にまで踏み込んだ攻撃を受ける場合もあります。
(3)カスハラの具体例や原因について
以上のようなカスハラの特徴としては、以下のようなものが挙げられます。
これらの行為は、従業員の精神的・身体的負担を増大させ、企業の業務運営に深刻な影響を及ぼすことがあります。
では、なぜこうしたカスハラが増加しているのでしょうか?カスハラが生じる原因は多様ですが、多くは企業のサービスや商品に対する不満が原因で発生します。
また、顧客の個人的な問題が影響している場合もあります。利用者(顧客)の権利意識が高まる一方で、過剰な要求や暴力的な行為が増えている現状は無視できません。
このようなカスハラに対して企業は適切な対応をとることが求められます。
間違えた対応をとってしまうとカスハラの問題は解決せず、従業員の退職や損害賠償の問題にも発展しかねません。
2 カスハラとクレームの相違について
(1)クレームという概念について
以上のようなカスハラに近接する概念として「クレーム」という言葉があります。上記の厚労省のカスハラの定義にもこのクレームという用語が用いられています。
このクレームは直訳すると「要求」「主張」「苦情」など言い換えることができます。
クレームは、カスハラと異なり、正当なものと不当なものがあります(正当なクレームと不当なクレーム)。
すなわち、企業の落ち度などを原因として顧客が企業に権利主張(落ち度の改善や損害の回復)を求めるものは正当なクレームです。
たとえば、飲食店で従業員が料理の配膳の際に顧客の衣服を汚してしまったために、顧客がクリーニング代として相当額(妥当な額)を求めることは正当なクレームです。
他方で、このケースにおいてクリーニング代と称して過大な金額を要求したり、飲食代の免除まで顧客が要求したりすることはもはや不当なクレームに該当すると言わざるを得ません(不快な思いをさせたとして飲食店側が自ら飲食代を免除する場合とは別の問題です)。
このように、クレームというのは、顧客から企業に対する何らかの「要求」が内容となっています。すなわち、企業に対する何らかの「要求」を伴う点にクレームの特徴があります。
(2)クレームと異なるカスハラの特徴について
このようなクレームと異なり、カスハラにおいては、常に何らかの「要求」が伴うとは限りません。
カスハラにおいても要求を伴う場合もありますが、伴わない場合もあるということです。
カスハラは要求自体が目的ではなく、困らせること、迷惑をかけること、嫌がらせが目的とも言えます。それゆえ、このようなカスハラにはいくら話をしてみても納得することはなく、納得を前提としての解決は難しいことが多いです。
たとえば上記の例で、顧客が従業員に対して土下座を要求すればカスハラに該当します。
かつ、この場合には不当な要求でもあることから不当クレームにも該当します。
他方で、この顧客が、当該店舗での出来事をSNSにて「この店最悪」などという文章と共に、当該従業員の顔社員をアップした場合には、顧客から企業に対する要求は含まれないものの、顧客の対応が行き過ぎであることは明らかであり、カスハラに該当します。
(3)クレームと異なるカスハラの本質について
このように、カスハラは、その本質が「嫌がらせ」という点にあり、これは顧客が企業に何かを「要求」するかどうかを問いません。要は当該行為が嫌がらせに該当すればカスハラとみてよいのです。
また、カスハラはすべからく不当であり、クレームのような「正当なカスハラ」なるものは一切ありません。
(4)カスハラとクレームの相違のまとめ
以上を整理すると
① クレームには正当なものと不当なものがある
② クレームの本質は何らかの「要求」行為である
③ カスハラはすべて不当なものである(正当なクレームなどない)
④ カスハラの本質は「嫌がらせ」行為である(常に「要求」が伴うとは限らない)
⑤ 不当なクレームとカスハラとは重複することがある(要求を伴う嫌がらせ)
となります。
3 カスハラに対する社会における受け止め方の変化等
(1)カスハラに対する韓国での動きについて
以上のようなカスハラは当然、日本に限られた問題ではなく、韓国でもカスハラに対する対策の必要性が叫ばれていました。
具体的には、2016年には韓国ソウル市において、「ソウル特別市感情労働従事者の権利保護等に関する条例」(感情労働者保護条例)が制定されました。
「感情労働者」とは、販売店員、介護・介護職のスタッフをはじめ、接客で自分の気持ちをコントロールすることを迫られている仕事についている人々のことを指します。
このような条例が制定された背景としては以下の指摘があります。
一つは、急速な経済発展に伴い、拝金主義的な考え方が広がったこと。
二つ目は、軍隊の上意下達の文化が企業社会にも影響を与えて、上の者の命令が絶対視されてしまうこと。
三つ目は、儒教の伝統的な家父長的な考え方が社会に残っていること。
これらが絡み合って、「消費者は王様である」という考え方を強固にしています。
情報産業労働組合連合会 2017.7.21 呉 学殊 独立行政法人 労働政策研究・研修機構主任研究員 より
そして、この条例では
① 感情労働者の権利を定め
② 顧客に対しては暴言、暴行、過度な要求等を通じたいじめ、性的恥辱・羞恥心を生じさせる行為等を禁止
③ 使用者に対してはマニュアルの作成などの保護措置を義務付ける
などというものです。
韓国ではこの条例が呼び水となり、全国の多くの自治体で同種の条例が制定される流れとなりました(ただし、法律の制定は未了)。
(2)カスハラに対する日本での動き
このような対策の必要性は日本でも同様であり、2017年にはカスハラの実態を調査すべく、UAゼンセン流通部門が「悪質クレーム対策(迷惑行為)アンケート調査結果」を公表しています。
他にも帝国データバンクによる調査も実施され、公表がされています。この実態調査については、別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。
一方で、当時の国の動きはまだ遅く、2019年5月に成立した「改正労働施策総合推進法」においては、カスハラについて法律上の措置義務の対象とはされず、同法に基づく「事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針」において、カスハラに取り組むことが望ましいと記載されるに留まりました。
しかし、その後もカスハラは重要な問題として社会内で認識がされ続けました。
そして、厚労省の「令和5年度職場のハラスメントに関する実態調査」においても過去3 年間に各ハラスメントの相談があったと回答した企業の割合をみると、高い順にパワハラ(64.2%)、セクハラ(39.5%)、顧客等からの著しい迷惑行為(27.9%)とされており、カスハラの比率が第三位となっています。
また、企業への相談の件数については、顧客等からの著しい迷惑行為(カスハラ)についてのみ「件数が増加している」(23.2%)の割合の方が「件数は減少している」(11.4%)より高いという結果であり、昨今、件数が増加傾向であることが分かります(なお、セクハラの件数は減少しているとの調査結果になっていて、各種ハラスメントの増減の変化がうかがわれます)。
また、この調査では、具体的なカスハラの内容として、「継続的な、執拗な言動」(72.1%)が最も高く、「威圧的な言動」(52.2%)が続いています。さらに、「精神的な攻撃」(44.7%)となっています。
さらに、2024年8月には厚労省の「雇用の分野における女性活躍推進に関する検討会」の報告書にてカスハラは、カスハラは労働者保護の観点から事業主の雇用管理上の措置義務とすることが適当とされました。
このようにしてカスハラに対する対策の必要性が社会の中で強く認識され、国も徐々に取り組みを進めてきている状況にあります。
加えて、東京都も条例制定の動きをとっており、この条例制定が上記の韓国ソウルにおける動きと同様の効果をもたらす可能性もあります。
4 カスハラが増えた背景は?
以上のようなカスハラが増加している背景には、以下のとおりいくつかの要因があると考えられます。
① SNSの普及
まず、インターネットやSNSの普及により、消費者が企業に対して直接的に声を上げやすくなったことが挙げられます。
すなわち、これらの手段を通じて消費者は以前よりも容易に、広く、顧客の意見や企業に対する不平不満を拡散することが可能となったのです。
② 消費者の権利意識の高まり
また、消費者の権利意識の高まりも一因です。
消費者は個人の権利を主張するという観点から、自分が感じた不平や不満を我慢せず、広く公にすることが増えたと言えます。
③ 不況を原因とした企業の姿勢
続いて、企業側の問題として、長引く不況を原因とした企業の消極姿勢が挙げられます。
すなわち、不況を背景とした顧客至上主義とでも言える「お客様は神様」という発想が長らく続き、そのスタンスを強要されることが多く、企業が顧客に適切な対処を控えるケースが多くありました。
すなわち、上記のとおりクレームには正当なものと不当なものがありますが、不況のため企業は、顧客から自社に対するクレームなどについて、企業に落ち度があるか否かを問わずにあれもこれも自社の落ち度かのような姿勢を取り続けてきたのです。
その結果、企業はあらゆるクレームなどを引き受けてしまい、ひいてはカスハラの蔓延にも繋がってしまっているのです。
④ カスハラに対する企業の姿勢の変化
他方で、企業もいつまでも不当なクレームやカスハラに甘んじてきた訳でもありません。
とりわけ昨今は深刻な人手不足等を背景に、以前よりも従業員の労働環境を重視する企業が増えました。このことは国の政策でも同様であり、その結果、カスハラ事例に対しても毅然とした対応をとる企業が増えています。
その結果、カスハラが事例として見える化されてきている側面もあります。
5 企業がカスハラに対処する必要性について
(1)カスハラ対策は企業の義務であること
以上のような社会情勢の中で、カスハラの問題は、現代のビジネス環境において無視できない問題です。
企業経営者にとって、従業員の安全と健康を守ることは基本的な義務であり、その中には当然にカスハラ対策も含まれます。
カスハラを放置することは、従業員の士気やパフォーマンスに悪影響を及ぼすだけでなく、企業全体の評判や業績にも重大な影響を与えます。
それどころか、カスハラ対策を誤ると従業員から損害賠償を求められることもあるなど、企業にとっては大きな負担となるのです。
なお、カスハラ対応を誤ったことに伴う使用者側の損害賠償責任については、「8 カスハラに関する裁判例について」に詳しく掲載しておりますのでご参照ください。
(2)厚生労働省の「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」について
厚生労働省は、カスハラ問題の深刻化を受けて、「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を発表しました。
このマニュアルには、企業が取るべき具体的な対策や方針が示されています。
このようなガイドラインに従うことは、法的なリスクを回避するためにも非常に重要です。
(3)大企業が次々とカスハラへの対応方針を発表
大企業もまた、カスハラ問題に対する対応方針を次々と公表しています。
6 カスハラに対する企業の予防策
(1) カスハラを放置するリスク
以上のようなカスハラを放置することには、様々なリスクが伴います。そのようなリスクを避けることは企業経営上必須の課題となっています。
そこで、カスハラを放置することによる企業経営上のリスクをご紹介します。
(2)カスハラ発生を未然に防ぐための社内研修と教育
カスハラを事前に防ぐためには、従業員に対する定期的な研修と教育が欠かせません。
これにより、従業員はカスハラに対する正しい知識と対応方法を身に付けることができます。
例えば、顧客との対話の仕方やクレーム対応の基本的なスキルを学ぶことで、カスハラの発生を防止できます。
(3)社員と顧客双方への適切なガイドラインの設定
企業は、従業員だけでなく顧客にも適切な行動を促すためのガイドラインを設定し、社員と顧客に明確に伝える必要があります。
これにより、顧客が過剰な要求や攻撃的な言動を避けるようになります。
ガイドラインには、具体的な例を挙げて説明することで、顧客も従業員も理解しやすくなります。
(4)カスタマーハラスメント対応マニュアルを作成する
企業は、カスハラに対する具体的な対応マニュアルを作成し、従業員に適切な対処法を周知徹底して準備しておくことが大切です。
社内マニュアルを作ることにより、カスハラに直面した際、社員が冷静に対応できるようになります。
マニュアルには、主に以下の点について整理しておくことが大切です。
① カスハラ対応の重要性
② カスハラとクレームの相違について
③ カスハラの未然防止対策について
④ カスハラが生じた際の対応策について
⑤ カスハラが生じた際の情報共有や相談体制について
まず初めの項目で、カスハラ対応がいかに重要かを明記し、企業と従業員の間で共有しておくことが大前提となります。⇒①
続いて、冒頭でも解説したとおり、そもそもカスハラとは何か、クレームとの相違は何かについてきちんと理解できるような内容にしておくことが大切です。
企業はあくまで「正当なクレーム」には真摯な対応が求められるからです。⇒②
その上でそもそもカスハラが生じる原因を踏まえつつ、どうしたらカスハラを生じさせないようにできるかを明らかにしておくことが大切です。
カスハラは生じなければそれに越したことはない問題だからです。⇒③
そうは言ってもカスハラが生じることはどの企業でもあり得る問題です。
そこで、カスハラが生じてしまった際に具体的にどのような対応プロセスを踏むべきかを個別に明らかにしておくことが大切です。⇒④
最後に、生じたカスハラを一部の従業員で抱え込むのではなく、きちんと担当部署や上司に報告し、事後の措置に備えることが大切です。
すなわち、会社内に担当者を決め、カスハラの相談窓口を設けることが大切です。トップページや社内ポータルサイトに通報用フォームを作り、誰でもアクセスしやすい状態にすることもいいかもしれません。
時に、カスハラを軽視し、上司等に報告していなかったとして後で問題が大きくなってしまうケースが見受けられます。
カスハラが発生した際に、従業員が一人悩みを抱えるのではなく、気軽に、安心して相談できる体制を整えることが重要です。
クレームを社内で共有する仕組みを整えることで、同様の問題が再発しないように対策を講じることができます。従業員間で情報を伝え合うことで、カスハラへの対応力が向上します。⇒⑤
(5)弁護士に相談や依頼できる体制づくりをする
いざというときは弁護士に相談や依頼できる体制づくりが重要です。
企業は、カスハラの未然防止及び、生じたカスハラへの対処のために日ごろからこの分野に精通した弁護士との連携が重要です。
というのも、カスハラの問題はいつ生じるかわからない上に、早急な対応が必要だからです。
また、企業では、そもそもカスハラと正当なクレームの違いが判断できなかったり、その線引きが難しかったりすることがあります。
さらに、企業では、カスハラに対して具体的にどのような対策を講じれば未然に防止できるのかも十分につかめていないこともあります。
そうした状況で場当たり的にカスハラ対応をとるだけでは不十分で、カスハラ被害を深刻化させかねません。
そこで、いざという時にきちんと確認・相談できる弁護士との関係構築が重要となります。
また、そもそもカスハラ対応についての相談や助言が可能な弁護士の存在は、企業のみならず現場の従業員にとっても心強い存在となることは間違いありません。
そのためには何かカスハラの問題が生じてから相談をするのではなく、日頃から関係構築ができる顧問弁護士の活用が望ましいです。
顧問弁護士であれば日頃から電話やメールで会社のことをすぐに相談することができます。そのため、カスハラの問題が生じたらすぐに相談が可能ですし、会社のことや立場、さらには業界の特徴をよく理解しているので対応も早いというメリットがあるのです。
カスハラ対策に役立つサポートを提供することができます。ぜひ顧問契約の締結をご検討ください。
7 カスハラが生じてしまった際の対応策
(1)カスハラに対する初期対応のポイント
カスハラが生じた際には、カスハラに対して迅速かつ適切な初期対応を行うことが重要です。
次に記載するポイントを押さえることで、問題の拡大を防ぐことができます。
(2)法的な対応策と企業の義務
カスハラがエスカレートした場合には、法的な問題に発展する場合もあります。
そこまでの事態に至った際には必ず弁護士への相談や助言、依頼が重要になってきます。
カスハラが悪質な場合、単なる迷惑行為ではなく、犯罪行為に該当することもあります。
具体的には、以下のような事例においては刑事罰の適用が問題となるほどの深刻なカスハラなので法的な措置が強く求められます。
法的措置を事前に確認しておくことも重要です。
(3)従業員に対する責任について
カスハラ対応に関しては、企業は従業員に対して責任を負うこともあるので注意が必要です。
以下、順番に説明します。
8 カスハラに関する裁判例について
企業がカスハラ被害に遭った際に各種法的手段を講じたり、生じた被害に対して責任追及をされたりすることがあります。
ここでは、企業のカスハラ対応が問題となり、その結果、カスハラ対応に当たった従業員が被った損害を従業員から企業に対して求めてきた事案についてご紹介します。
これら事案を踏まえると、カスハラ対応を誤る結果、従業員から訴えられるという不遇な結果になることがよく分かります。
裁判例① ~東京地裁平成25年2月19日 (医療法人社団こうかん会事件)~
裁判例② ~甲府地裁平成30年11月13日(損害賠償請求事件)~
9 カスハラ事案での弁護士の役割
(1)カスハラ事案において弁護士ができること
以上のように、カスハラは企業にとって避けて通れない重要な課題です。しかも、その対応を間違えることは企業にとって損失でしかありません。
そして、カスハラが顧客からの言われない嫌がらせであったとしても、顧客を相手に事業を展開する以上はその被害を生じさせないための対応や、生じてしまったカスハラへの対応のために適切な費用を講じた解決が求められることは避けられません。
そうした中、法律の専門家である弁護士にこの分野について、未然防止や事後解決のために相談や依頼をすることは非常に有効なことです。
特に、法律や労務の知識が不足している場合、定期的に専門家のセミナーやオンライン相談を活用して、新たな知識を得ることをおすすめします。
そこで、以下、弁護士に相談等をすることで何が実現するかをご紹介します。
① 法的助言
カスハラ問題が発生した際、弁護士は法的な観点から適切な助言を提供します。
これにより、企業が直面する法的リスクを最小限に抑えながら問題を解決することができます。
② 文書作成
弁護士は、カスハラに関する警告文や訴訟に必要な文書を作成します。
これにより、企業は法的に適切な対応を取ることができます。
③ 訴訟対応
カスハラがエスカレートして訴訟に発展した場合、弁護士は企業を代理して訴訟手続きを行います。
これにより、企業は専門的な法的支援を受けることができます。
(2)カスハラ事案において当事務所で出来ること
当事務所では、企業のカスハラ対応に力を入れています。
当事務所であれば、
① カスハラ未然防止のための定期的な研修
② カスハラ対策のためのマニュアル策定や監修
③ カスハラが生じた際の相談、助言といった法的なサポート
④ カスハラに対する直接対応
⑤ カスハラに対する法的対応(仮処分、訴訟、刑事告訴等)
が可能です。
カスタマーハラスメント(カスハラ)は、現代のビジネスにおいて無視できない問題です。
企業経営者は、従業員を守るためにカスハラに対する適切な対応を行う義務があります。
初期対応のポイントや法的な対応策を理解し、実践することで、企業全体の健康的な労働環境を維持することができます。カスハラに関する疑問や対応策については、専門の弁護士に相談することをおすすめします。
ぜひ、カスハラ対応に弁護士の力をご活用ください。
弊社ではカスハラ対策に関する法律相談を、オンラインでの対応も可能です。
ご連絡お待ちしております。
この記事を書いた弁護士
代表弁護士 呉 裕麻(おー ゆうま)
出身:東京 出身大学:早稲田大学
労使問題を始めとして、契約書の作成やチェック、債権回収、著作権管理、クレーマー対応、誹謗中傷対策などについて、使用者側の立場から具体的な助言や対応が可能。
常に冷静で迅速、的確なアドバイスが評判。
信条は、「心は熱く、仕事はクールに。」
執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所