27日午前8時30分ごろ、栃木県那須町湯本の那須温泉ファミリースキー場で雪崩が発生し、登山の講習会に参加していた県立大田原高校の16~17歳の男子生徒7人と男性教員1人の計8人が搬送先の病院で死亡した。雪深い山で雪をかき分けて進む「ラッセル訓練」の途中で雪崩に巻き込まれたという。県警は引率教員らの判断にミスがなかったかどうか、業務上過失致死傷容疑で捜査を始めた。
(朝日デジタル 2017年3月28日00時21分)
栃木県那須町のスキー場付近で登山講習中の高校生ら8人が死亡した雪崩事故で、講習会を主催した県高校体育連盟登山専門部の猪瀬修一専門委員長(50)らが29日、県庁で記者会見した。会見での猪瀬専門委員長の主な発言は以下の通り。
私は現場から車で2、3分の本部にいた。現地の副委員長ら2人と話をした。雪は降っているので茶臼岳を目指すのは無理だが、スキー場のところでラッセル訓練はできるだろうと提案を受けた。
――ラッセルができると判断した理由は
雪の量がさほど強くない。風もほとんどない。スキー場に新雪が積もっていたが30センチくらいで、歩行訓練には向いていると判断した。7時半に管理事務所から現場を見た。3人で状況確認をした。雪はぱらぱら、風はない。雪崩の危険はないと確認した。
――最終的に誰の責任でラッセル訓練を決めたか
私が委員長。副委員長らは私より登山経験が長い。3人で話し合って決めたということしか私からは言えない。
――雪崩の危険性は
雪崩が起きやすいところに近寄らないということで大丈夫だろうと。
――雪崩が起きないと思った根拠は過去の訓練か
そうだ。私も1度か2度そこに行ったことがある。
――判断について今どう考えるか
その時には絶対安全と判断した。正直こういう形になって、今現在はその判断が私としては、こういうことになってしまったことを反省しなくてはいけない。
(朝日デジタル 2017年3月29日22時45分)
本件事故の現場の責任者である猪瀬氏の会見では、「反省」の言葉はありましたが、「謝罪」の言葉がありませんでした。
企業や組織の不祥事や事故に際して、その責任者や代表者らが会見を行う際に、常につきまとうのが「謝罪」の言葉を述べるかどうか、という点です。
事故後間もない時点で行われる会見であることから、事故の全容が明らかでなかったり、組織としてどこまで対応すべきかなどという問題があったりするため、慎重に判断し、「謝罪」を盛り込まないことが多いようです。
しかし、事故が起きたことに対して「謝罪」をすればそれですべての損害や責任を認めることになるかというとまったく別問題です。
組織としてそのような事故に対して何らかの「謝罪」をすることは法的には何らの問題もありません。むしろ、最近では会見などで謝罪がないことを問題視し、非難されることの方が多いとすら感じます。
そのため、組織としては全容の解明に務めつつ、そのような事故に対して謝罪すべき点があれば謝罪しておくのが筋ではないかと思います。