登山ツアーでの事故の責任~モンベル系ツアー会社の同意書の効力~

モンベル系のツアー会社であるベルカディアが、登山ツアーの参加者に、ツアー中に生じた生命身体などの被害について「責任追及は放棄し、全て自己責任とする」との同意書の提出を求めていたことから、当該条項の削除を巡った裁判が起こされていました。

結果的には当該条項を削除し、「危機管理は自己責任であることを十分認識し、同意する。ただし法的権利を何ら放棄するものではない。」との条項になったとのことです。

(日経新聞2018年8月18日朝刊より)

 

当初の条項は、ツアー会社の債務不履行ないし不法行為責任を一切、事前に追及させないもので、参加者にとって一方的に不利益な条項です。こにょうな条項は、消費者契約法8条により無効とされます。そのため、仮にこのような同意書を提出した上で、何か事故があった場合でも、ツアー会社に故意過失があれば債務不履行ないし不法行為責任を追及できます。

しかし、このような同意書を事前に作成しないとツアーに参加できないということ自体が不当であるとして訴訟になっていたものです。

 

ツアー会社としても、消費者契約法の趣旨を理解し、条項の削除と改正に応じたのでしょう。

 

登山は自己責任、とは良く聞く言葉ですが、ツアー会社に落ち度があった場合にまで無答責とはなりません。

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