JASRACとヤマハ音楽教室との訴訟、高裁へ

以前にも取り上げたことがあるJASRACとヤマハ音楽教室との訴訟ですが、第1審の東京地裁では、JASRACの全面勝訴にて終わりました。

かかる判決に対してヤマハ側は知財高裁への控訴をしたとのことです。

JASRACに敗訴の音楽教室、知財高裁に控訴 「こじつけ判決」と地裁を批判
音楽教室側がJASRACの著作権料徴収の権限を認めた東京地裁判決を不服として、知財高裁に控訴。音楽教室側は「最初から結論ありきの判断で、到底納得できない」としている。

 

本件訴訟では、著作権法22条の解釈が問題となりました。

第二十二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。

具体的には、?音楽教室の生徒に聞かせることが、「公衆に」聞かせることになるか、(2)生徒への演奏が「聞かせることを目的として」といえるかが争点でした。

 

地裁では、?については、音楽教室のように限定された人数の生徒であってもこれをもって「公衆に」に該当するとし、(2)については、演奏はあくまでも練習のためであり、いわゆるコンサートのような形式で行われたものでないとはいえ、生徒が先生の演奏を聞いて自ら実演するためのものであることから「聞かせることを目的として」といえると判断しました。

要は、音楽教室であったとしても、楽曲を演奏してこれを生徒に聞かせている以上は著作権の問題になるということです。

かかる判決は、概ね当然の解釈であるとの評価が多いようです。

 

私も音楽教室であるからといって、著作権の保護が及ばないと考えることは理屈的にあり得ないと思っています。なので、高裁に移行しても、当該判断の結論は維持されるものと予想します。

 

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