日本音楽著作権協会(JASRAC)が音楽教室から著作権料を徴収する方針を決めたことに対し、音楽教室大手・ヤマハ音楽振興会(東京都目黒区)が7月にも、「教室での演奏には著作権は及ばない」として、JASRACへの支払い義務がないことの確認を求める訴訟を東京地裁に起こす方針を固めた。(赤田康和)
(朝日新聞デジタル 2017年5月16日00時48分)
先日報道になった、音楽教室からの著作権料徴収のニュースの続報です。
ジャスラックが全国の音楽教室から著作権料を徴収する意向に対して、音楽教室側が対抗措置をとることとしたものです。
音楽教室側の主張は、法的には「債務不存在確認」という形をとります。要するに、音楽教室としては、ジャスラックに法的に著作権料の支払い義務はないことの確認を裁判所に求めるものです。
著作権法は22条で「著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として上演し、又は演奏する権利を専有する」と定めており(上演権、演奏権といいます。)、音楽教室での演奏がこれに違反するかどうかが争点となります。
この点に関し、上記報道によると
音教室側は「技芸の伝達が目的で聞かせることが目的でない」と主張。JASRACは「人気曲を使い、魅力を生徒が味わっている以上、聞かせることが目的」と反論している。
とのことです。
しかし、音楽教室として生徒に演奏の手本を示し、その演奏の方法を教えている以上は「聞かせることが目的でない」との言い分は通らないように私は思います。すなわち、「技芸の伝達」のためには、どうしても「聞かせること」が必須であり、そうである以上は少なくとも形式的には著作権法上の「演奏権」を侵害していることとなるからです。