カラオケ動画の投稿NG~東京地裁判決~

カラオケ歌う動画投稿は「違法」 メーカーの権利認める

 カラオケで歌う姿を撮った動画の投稿は違法――。カラオケ機器メーカーが、都内の男性に動画の投稿をやめるように求めた訴訟の判決で、東京地裁がこんな判断を示した。著作権の専門家は「聞いたことがない」と驚いている。

 判決によると、男性は昨年9月ごろ、カラオケ店で人気女性グループ「Little Glee Monster(リトル グリー モンスター)」の新曲を歌う様子を撮影。動画をユーチューブに投稿した。同店が使うカラオケ機器のメーカー「第一興商」は男性に削除を求めたが応じないため、提訴した。

 カラオケ機器の楽曲はCDの音源から独自に作られており、著作権に準じた権利「著作隣接権」として保護される。第一興商は1年間に約12万件のカラオケ動画の削除要請をしているが、提訴は初めてという。

 裁判で男性は「歌っているのはワンコーラスのみ」などとして、「同社の利益は侵害していない」と訴えた。しかし、昨年12月にあった判決は同社の請求を全面的に認め、確定した。

 著作権に詳しい福井健策弁護士は「投稿禁止の判決は聞いたことがない」とした上で、「個人の投稿ならむしろ話題や宣伝にもなり『お目こぼし』されていた部分もあった。判決をきっかけに、投稿のルールを巡る議論が起きる可能性はある」と語る。(後藤遼太)

(朝日新聞デジタル 2017年05月11日 22時14分)

 

著作物の創作者ではないが、著作物の伝達に重要な役割を果たしているレコード製作者、放送事業者等に認められた権利がを著作隣接権といいます。

カラオケ機器の楽曲を制作している業者が、個人を相手に、裁判まで起こしたケースということで非常に稀な事案だといえます。

厳密にいえば確かに楽曲制作会社の著作隣接権を侵害するとも言えそうですが、現在のネット社会の中で今後、本件判決の持つ影響は少なくないといえそうです。

先日には、音楽教室への著作料の請求が話題にもなっており、ネット社会だからこその著作権対策が重要な時代といえそうです。

 

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