漫画家、三田紀房さんの元アシスタントが、三田さんに残業代を請求したという件がニュースになっていました。
ニュース記事→ http://news.livedoor.com/article/detail/14172610/
元アシスタントの方のブログ(1)(請求することについて)→ http://kakuishishunsuke.hatenablog.com/entry/2018/01/07/011945
元アシスタントの方のブログ(2)(請求結果)→ http://kakuishishunsuke.hatenablog.com/entry/2018/01/17/110312
勤務形態は月~木の週四日、9時30分~18時30分(9時間×4日=36時間・休憩時間を含まず)とのことだが、昼休憩もほとんどなく、とりわけ木曜日には残業が多かったとのことです。
労基法では、週所定労働時間を40時間とし、一日の所定労働時間を8時間としています。
なので、↑の場合、1日9時間の労働であったのであれば毎日1時間は残業代が発生します。
その上、木曜日の残業についても当然に残業代が発生します。
これらが一切支払われていなかったので、問題提起を含めて請求し、そのことをブログに綴ったようです。結果、満額支払いを受けるなどしたとのことで、事案の解決、世論喚起としてはとても良かったのではないかと思います。
ところで、記事では「変形労働時間制」についてもチラッと書かれています。
これは、繁閑の差のある業態などで使われる制度です。曜日や時期によって、繁閑が激しい場合、予め忙しい時には長時間の労働時間を設定するが(例えば月曜日は12時間)、暇な日には短時間とする(例えば木曜日は4時間)ことで、例で挙げた月曜日について、8時間を超えた4時間部分について残業代を支給しなくてよいこととするのです。
ただし、この制度の適用のためには、厳格な要件が必要で、適用条件(就業規則等で定めること)をしっかり満たさないといけません。
後になって残業代を請求しようとしたら、使用者から「うちは変形労働制だから残業代は生じません」との弁解を許さないためです。
なので、変形労働制を検討している事業主は、きちんと事前に適用要件をチェックしておく必要があります。
それにしても、元アシスタントの方は勇気をもって行動しましたね。一人ひとりが立ち上がること、声をあげること、それに対して使用者が真摯に向き合うことが本当の意味の「働き方改革」だと私は感じました。