侮辱罪の厳罰化に向けた答申

 

法制審議会(会長・井田良中央大大学院教授)は21日、インターネット上の誹謗(ひぼう)中傷対策で刑法の「侮辱罪」に懲役刑を追加する要綱を古川禎久法相に答申した。

(中略)
現行の「拘留(30日未満)か科料(1万円未満)」に、「1年以下の懲役・禁錮または30万円以下の罰金」を加え、公訴時効も現行の1年から3年に延長される。1907年の刑法制定時以来の大幅な見直しになる。
 
(日経新聞2021年10月21日)

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE21BE80R21C21A0000000/?type=my#QAAUAgAAMA

 

ネット上での誹謗中傷問題が深刻化する中、悪質な事案に適正に対処する観点からの法改正に向けた答申です。

誹謗中傷に対しては、現行法上は名誉棄損、侮辱、脅迫などを根拠として刑事責任の追及の余地がありますが、昨今、事実適示を伴わない形での「侮辱」によっても非常に大きな被害が生じています。

他方で現行の侮辱罪は、非常に軽い刑罰の規定であること、そのために公訴時効が短いという問題がありました。

そこで、法定刑を引き上げ、公訴時効もこれに伴い長期化することで問題の解決が図られようとしています。

 

被害に遭われた方からすれば確かにまだ小さな改正でしかありませんが、少しずつでも前に進むことも大切だと思います。

なお、インターネットで誹謗中傷を受けた企業(法人)においては、投稿内容がいわゆる名誉棄損に該当する場合にはその削除や損害賠償を請求することが可能ですが、侮辱については法人に対して成立し得ないとされている点、注意が必要です。ただし、その場合でも、投稿内容が企業の代表者や個別の社員らに向けられたものと認められる内容であれば代表者個人、社員個人を名宛人とする侮辱の成立の余地があるため、そのような観点からの分析、検討も必要かつ有効になってきます。

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