社長のセクハラどう防ぐ 選任手法と社外役員の役割重視
ENEOSホールディングスやタムロンなど、企業トップによる女性関連の不祥事が相次いでいる。個人的なモラルの問題ととらえられがちだが、専門家はコーポレートガバナンス(企業統治)の強化や経営トップの選定手法の見直しで対応する必要性を指摘する。
(日本経済新聞2024年3月1日)
ENEOSの関係では、以下のとおりENEOSホールディングスの本体や子会社の各社長が立て続けに解任になっています。このような事態を見るにつけると、どうやらこの会社の企業体質に問題があるように思われます。いずれの解任も「懇親の場」での出来事なので、懇親と称して、酔いに任せて男性が女性に好き勝手なことをしてきた風潮があるのではないでしょうか。
2月21日、ENEOSホールディングス(HD)の子会社で再生可能エネルギーのジャパン・リニューアブル・エナジーが男性会長の解任を発表した。懇親の場でのセクシュアルハラスメント行為が原因だった。
ENEOSは23年12月にホールディングス本体の男性社長が、懇親の場で酔って女性に抱きついたとして解任されたばかり。
(日本経済新聞2024年3月1日)
当然、これらの行為は不同意わいせつ罪(刑法176条)に該当する犯罪行為です。その結果として社長解任になるのは当然のことでしょう。被害者に対しての賠償問題も当然、負うべきこととなります。
このENEOSの問題に限らず、これまでも多くの日本の企業で社長によるセクハラ行為が問題となってきました。
しかし、未だこれらは根絶されていない状況が浮き彫りになっています。
今後の課題としては、(1)企業風土の改善、(2)社外取締役の比率向上、(3)女性役員の比率向上などが挙げられます。これらは以前からも言われてきたことですが、この間の状況に照らすと基本に立ち返っての取り組みが必要だと言えます。
特に(1)の点については、セクハラが個人の問題と捉えられやすい点をもう一度考え直し、「企業の風土自体に問題がなかったか」という点から考え直すのに重要な問題です。要するに、企業内においてセクハラが生しるのは個人の問題に限らず、そのような風潮を許す企業風土にも原因があるということです。
ENEOSのように繰り返している会社では特にそうだと言えます。
また、これらに加え、社内研修の強化も重要だと考えます。セクハラは他人事ではないこと、これを目撃した場合にとるべき対応もあること(黙認は許されない)を、セクハラ問題に詳しい弁護士など専門家による研修を行うべきだと考えます。