この記事では、会社経営上、労働者との解雇紛争を巡り、請求されることとなる「バックペイ」に関し、使用者側、企業法務の取り扱いのある弁護士の立場から詳しく解説をします。
このコラムを通じて普段、あまり聞くことのないこの「バックペイ」の意味を正しく理解して頂き、
「どうしたらバックペイを払わなくて済むようにできるのか?(拒むことができるのか?)」
「仮に払うにしてもどうやったら金額を抑えられるのか?」
「バックペイの計算方法や控除できる金額は何か?」
などについての情報を整理してください。
そして、解雇に対して「不当解雇」と主張され、不意に請求されたバックペイで企業活動に大きな支障が生じさせないために、このサイトのコラムをしっかりと読んでいただき、具体的な対応に繋げていただけたらと思います。
1 バックペイとは何か?
⑴ バックペイの意味について
バックペイ(back paymentの略。英語で「未払い賃金」はunpaid wagesとも言います。)
会社がした従業員の解雇が争われ、後に労働審判や裁判所の判決などにより無効とされた結果として、会社が労働者に対して支払う必要のある未払い賃金を意味します。
バックペイはこのように、解雇の効力が争われた際に問題となります。
⑵ バックペイの求められ方
このバックペイは、具体的には、労働審判や労働訴訟の中で以下のような請求として現れます。(以下の表現は労働審判の際の表現です)
上記の第1が解雇無効を争うという趣旨となり、第2が解雇無効を前提としての未払い賃金、すなわちバックペイを求める、という趣旨となります。
⑶ バックペイに未払残業代は含まれるのか?
ところで、バックペイという言葉自体は、上記のように「未払い賃金」のことを意味します。
ですので、本来その対象ないし範囲は、解雇無効に伴う未払い賃金に限らず、解雇を前提としない未払い残業代についても広い意味ではバックペイといえます。
ただし、現在日本ではこのバックペイという言葉は一般的に、「解雇無効に伴う未払い賃金」を指すものとして使われています。
そのため、バックペイは未払い残業代の問題とは、明確に区別されます。
したがって、以下では「バックペイ」とは、解雇無効に伴う未払い賃金のことを指すものとして解説をします。
呉弁護士からの一言コメント
バックペイとは聞きなれない言葉かもしれませんが、重要な点としては「解雇の際にセットで問題となる未払い賃金」と理解してください。
また、解雇が無効となると、このバックペイとは別途、解雇が無効と確定した後の月額賃金の支払い義務も生じることにも注意が必要です。
2 バックペイの法律上の根拠について
では、解雇が無効になったとして、どうして解雇の時点に遡って賃金を払う必要が生じるのでしょうか?その法的根拠を解説します。
この点、解雇の時点から解雇無効が確定するまでの間は、当該労働者は雇用契約に基づき、会社に何ら労務を提供していません。
そして、雇用契約は、雇用されている労働者が労務を提供することが労働者の債務となり、これに対して雇用している使用者が賃金を支払うことが使用者の債務となる双務契約です。
【雇用契約=双務契約】
・労働者=労務の提供についての債務者
・使用者=賃金の支払いについての債務者
そうすると、労働者が労務を提供していない以上は、「ノーワークノーペイ(no work no pay)」の原則に照らし、会社に賃金の支払い義務はないものと言えそうです。
しかし、労働者の立場からすれば、解雇によって労務を提供することができなくなったのであり、その解雇は後に無効であるとの法的判断が下されたのであるから、「労務を提供したかったものの、会社がこれを違法に拒否した」と評価できます。
また、解雇が無効と判断されると、解雇は「解雇の意思表示の時点から無効だった」ことになるのであり、「解雇無効の判断が言い渡されてこれが確定した時点から無効」となるのではありません。
そのため、労働者が労務を提供ないし履行できなかった(=会社が労務の受領を拒んだ)のは、債権者である会社の責めに帰すべき事由(=会社の責任)によるものとされ、会社は労務の提供に対する反対債務たる賃金(=労務の提供に対する給付)を支払う義務があるのです(民法536条2項)。
呉弁護士からの一言コメント
バックペイがあるからこそ、労働者は解雇無効を争うと言っても過言ではありません。それくらいバックペイが持つ意味は大きいものです。
また、繰り返しになりますが、解雇が無効となると、労働者の労務提供の結果、バックペイとは別に解雇無効が確定した後の月額賃金の支払いも再開する点に注意が必要です。
そのため、解雇無効の判断が出た際には、改めて雇用契約の終了のための交渉なども必要となります。
3 バックペイが生じるのはどのような場合か?
バックペイが生じるのは、
解雇を前提とし、会社がした解雇が「無効」として確定した場合、もしくは解雇無効を念頭に和解
したような場合です。
バックペイは上記の様に、会社がした解雇とその後の解雇紛争(労働者からの請求や、労働組合を通じての団体交渉など)に伴って問題となります。
したがって、バックペイは常に解雇を前提としてしか問題となりません。
そして、バックペイの支払いが現実化するのは、会社がした解雇が「無効」として確定した場合、もしくは解雇無効を念頭に和解をしたような場合です。
言い換えると、解雇をしたとしてもその効力が有効であるとか、解雇無効を労働者が争ってこなかった場合には、バックペイの支払いは生じません。
バックペイが具体化するのは解雇の無効が確定する流れの中でのことなのです。
4 バックペイの計算方法は?
⑴ バックペイの計算方法の大原則
バックペイは、解雇をした日にち以降、解雇無効が確定するまでの間の賃金です。
その賃金には、以下のものの合計の額とされます。これらの内容は就業規則に基づき明らかにされているはずです。
しかし、一部の賃金はバックペイの計算に含まれませんので注意が必要です。
こうして確定した「月額賃金」✖️「解雇無効が確定するまでの月数」にてバックペイの金額が確定します。
すなわち、月額賃金をまず算定し、解雇が無効と確定するまでの期間によって決まるのです。
その結果、月額賃金が高ければ高いほど、争いが長ければ長いほど、バックペイの金額は増加していきます。
【月額賃金の範囲】
1.基本給
2.各種手当
3.固定残業代
4.金額の固定されている賞与
1.通勤手当
→通勤手当は実費弁償であることから、実際に通勤していない以上、バックペイに含めません。
2.固定残業代以外の残業代
→固定残業代以外の実際の残業時間に応じた残業代も、実際に残業していない以上はバックペイに含めません。
3.支給の有無や金額が確定していない賞与
→支給の有無や金額が確定していない賞与もバックペイに含めません。
⑵ バックペイから控除できる金額について
① 労働者が労務提供の意思を失った場合
バックペイの負担が生じるのは、解雇された労働者が労務提供の意思と能力を有するにも関わらず、債権者である会社がこれを受領しなかったことに根拠があります。(上記の「2 バックペイの法律上の根拠について」をご参照ください。)
そのため、解雇後に労働者が労務提供の意思を失った場合にはバックペイの支払い義務は生じなくなります。
ただし、具体的にどのような場合に労務提供の意思を失ったと判断されるかは非常に難しい問題であり、単に解雇後に他社で就労していたというだけでこれに該当するとは言えないので注意が必要です。
➁ 労働者が労働提供の能力を失った場合
また、解雇後に労働者がケガや病気により労務提供の能力を失った場合にも、バックペイの支払い義務は失われます。
通常の労働契約の際であっても、私傷病休業中には賃金の支払い義務(債務)が生じないことと同様に処理されるからです。(ノーワークノーペイ)
⑶ 労働者の中間収入は控除できるのか?
① 中間収入の控除の可否
では、解雇後に労働者が他社で賃金を受け取っていた場合の当該賃金(中間収入)を控除することは可能でしょうか?
この点、「解雇後の労働者の中間収入の控除は可能であるが、常に全額控除できるわけではない」とご理解ください。
すなわち、労働基準法26条の規定により、中間収入の控除には一定の限界があるのです。これは、使用者と比べ、弱い立場にある労働者の生活の保障を考慮したものに他なりません。
➁ 中間収入控除の例1
- 中間収入<最低支給額 の場合
- 平均賃金:30万円
労働基準法26条に基づく最低支給額:18万円(30万円×60%)
解雇日:2024年7月末日
解雇無効が確定した日:2024年11月末日
中間収入:2024年9月に10万円
中間収入を控除する前のバックペイ額:120万円(30万円×4か月)
中間収入を控除した後のバックペイ額:110万円(120万円-10万円)
- 解説
- 中間収入の控除が許されるのは、最大でも「平均賃金から労働基準法26条に基づく最低支給額を引いた額まで」です。
そのため、この事例であれば、 30万円-18万円=12万円 まで控除が可能です。
そして、実際の中間収入が12万円未満であれば、実際の中間収入額である10万円を控除することになります。
したがって、120万円-10万円(実際の中間収入)=110万円 が実際のバックペイ額となります。
➁ 中間収入控除の例2
- 中間収入>最低支給額 の場合
- 平均賃金:30万円
労働基準法26条に基づく最低支給額:18万円(30万円×60%)
解雇日:2024年7月末日
解雇無効が確定した日:2024年11月末日
中間収入:2024年9月に20万円
中間収入を控除する前のバックペイ額:120万円(30万円×4か月)
中間収入を控除した後のバックペイ額:102万円(120万円-12万円)
- 解説
- この事例の場合には、労働基準法26条に基づく最低支給額18万円と、実際の中間収入20万円を比較すると、実際の中間収入が最低支給額を超えていることから、18万円までしか控除することはできません。
したがって、120万円-18万円(実際の中間収入)=102万円 が実際のバックペイ額となります。
そのため、事例②では、労働者が得をしたような計算になりますが、使用者の責めに帰すべき事由による休業の規定として当然に想定されているものであり、その意味で、会社に対する一種の制裁のように機能しているのが実情です。
呉弁護士からの一言コメント
労働者の中間収入は控除できますが、一定の限界があることに注意が必要です。
全額控除は無理なケースもあるので「解雇後に他社で働いていたからバックペイの支払い額なんてたかが知れている。」などと早計しないようにご注意ください。
5 バックペイの相場について
⑴ バックペイの相場に影響する事情について
バックペイの計算方法は上記のとおりで、その相場は、以下のような事情に基づき左右されます。
その上で、示談、労働審判、訴訟の場合とで分けてその相場感を解説します。
呉弁護士からの一言コメント
とりわけ賃金の高い労働者と長く争うことになると、バックペイだけでも1,000万円を超える高額な負担となることが多々あります。以下で裁判例も紹介しますが、1,000万円を超えるケースは非常に多いです。
これは、裁判で判決に至るまでの期間が、相当長期に及ぶことにも原因があります。
⑵ 示談の場合
解雇の効力が示談により争われた場合には、労働者と会社との間で解雇の効力を中心に交渉がされます。
労働者として示談により解雇の効力を争うケースは、よほど解雇の効力が無効であることが明白な場合か、そうでなくても労働者として早期に解雇紛争を解決したい場合です。
そして、前者の場合には、会社として解雇の効力が無効であることを念頭に、労働者が復職をしない前提での金銭解決をすることが考えられます。
また、後者の場合には、会社としては解雇無効を念頭に置いたバックペイの支払いは法的にはないものの、紛争をこれ以上こじらせずに解決するための「解決金」として一定の金銭を支払って解決することが考えられます。
呉弁護士からの一言コメント
解雇の効力や、バックペイについて示談で解決するケースはあまり多くないことや、具体的な解決水準の統計が存在しないので「相場」の形成は難しいのが実情です。
⑶ 労働審判の場合
労働審判とは・・・
労働契約の存否その他の労働関係に関する事項について、個々の労働者と事業主との間に生じた民事に関する紛争に関し、裁判所において、裁判官及び労働関係に関する専門的な知識経験を有する者で組織する委員会が、当事者の申立てにより、事件を審理し、調停の成立による解決の見込みがある場合にはこれを試み、その解決に至らない場合には、労働審判を行う手続きのこと。(労働審判法1条)
解雇の紛争も、「労働関係に関する事項」に該当するので、労働審判により争われることが多々あります。
そして、労働審判における調停又は審判により示された解決金等の金額は以下のとおりです。
労働審判における調停又は審判により示された解決金等の金額
平均値=2,852,637円
中央値=1,500,000円
厚生労働省による令和4年10月26日付け「解雇に関する紛争解決制度の現状と労働審判事件等における解決金額等に関する調査についてより
これらの金額は、労働審判において求められた各種の金額(バックペイ以外にも、未払残業代やパワハラやセクハラなどハラスメントの慰謝料や弁護士費用など)も含めての金額であることから、単純にバックペイの金額のみではありません。
ただし、労働審判の際のバックペイがいくらくらいになるかの参考とはなり得るものと考えられます。
なお、この「労働審判」については、別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。
⑷ 訴訟で和解した場合
次に、訴訟で和解した場合には、上記調査によると、以下のような結果となっています。
(訴訟で判決に至った場合の水準ではないことに注意が必要です。訴訟で判決に至った場合の水準は、「⑸ バックペイに関する裁判例について」をご参照ください。)
訴訟で和解した場合に示された解決金等の金額
平均値=6,134,219円
中央値=3,000,000円
厚生労働省による令和4年10月26日付け「解雇に関する紛争解決制度の現状と労働審判事件等における解決金額等に関する調査についてより
この数値は、労働審判の際と同様に、必ずしもバックペイに限られるものではありませんが、やはりバックペイがいくらくらいになりそうかを推測するには参考になると思います。
そして、上記の労働審判の際と比較すると、平均値も中央値も概ね倍になっていることが分かると思います。
この違いは、労働審判のよりも訴訟の方が解決までの期間が長いことに由来するものです。
すなわち、上記調査によると、労働審判と訴訟で和解に至るまでの期間(平均)は以下のとおりです。
そして、この解決までの期間もやはり訴訟が労働審判の倍くらいの期間になっていることから、上記で説明したように、解決水準が倍くらいになっていることとも整合するものです。(解決期間が倍になると解決水準も倍になる)
呉弁護士からの一言コメント
労働審判にしても、訴訟にしても、「月額賃金×解決までの期間」をバックペイの目安とすることは可能です。
したがって、月額賃金が30万円の従業員との間で解雇無効が争われた場合、労働審判であれば180万円程度、訴訟(和解)であれば340万円程度での解決が一つの「目安」となり得ます。
⑸ バックペイに関する裁判例について
バックペイに関する裁判例(すなわち解雇無効を争われ敗訴した事例)は無数に存在します。
以下では、その中でも比較的有名な事例をご紹介します。 事案にもよりますが、相当の期間争われ、結果、かなりの金額が明示されている実情がご理解頂けるかと思います
裁判例① ~労務提供の意思を肯定し、バックペイを認めた事例~
呉弁護士からの一言コメント
この事案では、①バックペイ ②未払残業代 ③これらに対する遅延損害金 ④解雇無効後の賃金が生じるという会社にとって大きな打撃を与える結果となっています。
③の遅延損害金については年6%で計算されるところ、②未払残業代の元金は大きく、年6%で70万円程度になり、これが3年となると200万円を超える金額となってしまうことにも注意が必要です。
裁判例② ~労務提供の意思を否定し、以後のバックペイを否定した事例~
呉弁護士からの一言コメント
以上のバックペイの支払いに関し、別途、労働者から損害賠償の請求が付されていることがあります。
ただし、バックペイの支払いが肯定された際に、解雇が無効であったことを理由としての損害賠償が肯定されることはありません。
労働者に対する損害賠償が肯定されるとすれば、それは解雇とは別途、パワハラなどの違法行為が肯定された場合に限られます。
裁判例③ ~その他バックペイに関連する事例~
事件名 | 裁判所 | 判決日 | 解雇日 | バックペイ |
松筒自動車学校事件 | 大阪地裁 | 平成7年4月28日 | 平成2年9月20日 | 約330万円 |
森下仁丹事件 | 大阪地裁 | 平成14年3月22日 | 平成12年12月31日 | 約650万円 |
日本オリーブ解雇事件 | 名古屋地裁 | 平成15年2月5日 | 平成14年7月3日 | 約300万円 |
ブルームバーグエルピー事件 | 東京高裁 | 平成25年4月24日 | 平成22年8月20日 | 約2,100万円 |
大阪振興運輸事件 | 大阪地裁 | 平成25年6月20日 | 平成23年6月29日 | 約750万円 |
日本アイ・ビー・エム事件 | 東京地裁 | 平成28年3月28日 | X1:平成25年6月12日 X2:平成25年6月26日 | X1:約2,100万円 X2:約2,400万円 |
6 バックペイの支払いを避けるために必要なこと
以上のように、企業としてはやむを得ないものとして、また後に争われても勝てるものとして解雇をしたものの、後に解雇の効力が争われ、解雇無効が濃厚となると多額のバックペイが生じるリスクがあります。
加えて、解雇紛争自体、解決までに相当の期間を要すること、そのために会社の人的、経済的負担が避けられないこと、解雇紛争によって失うものは多くとも、得られるものは基本的には何もないことからすると、「解雇紛争になること自体が会社にとっての打撃」と言わざるを得ません。
他にも、日本の労働法や労働裁判例、裁判所の考え方としては、解雇に対する極めて厳しい規制が存在します。
すなわち、労働契約法16条では解雇権濫用法理を明言し、最高裁を始めとして裁判所は労働者に有利な判例解釈をしているのです。
そのため、このことを十分に熟知せずに解雇に至った結果、解雇の効力を争われてしまうのです。
しかし、日本の多くの企業では、このような日本の労働法や裁判例の実態や、バックペイの存在を認識することなく、安易に解雇に至っているケースが散見されます。
そして、労働者側も昨今では容易に弁護士にアクセスし、依頼をすることが可能となっていることもあり、解雇の効力を争われ、多額のバックペイに苦しむ企業が後を絶ちません。
以上を踏まえると、バックペイを回避するために何より大切なことは「解雇をしないこと」に尽きます。
このように説明をすると、「弱気」であると受け止める経営者の方が少なからずいらっしゃるのですが、企業経営上で大切なことは「紛争を起こして戦うこと」ではないはずです。
すなわち、会社の本来の事業目的や理念に沿って企業努力を積み重ね、業務に専念し、より良いサービスを提供し、利益を上げ、社会に貢献することのはずです。
何も、わざわざ社員との解雇紛争を生じさせ、そこで意地を張る必要性はありません。
当該従業員の不当な態度に腹が立っても、冷静を保ち、合理的な判断をするに越したことはないのです。
とはいえ、解雇に踏み切るしかない、解雇を回避しえないケースもあることも確かに理解できます。
そうしないことには職場の規律を保てないこともあるかと思います。
そこで、仮に解雇を念頭に置いた場合であれば、
「解雇をしたとしても争われないような解雇をすること」
「解雇を争われても完全に解雇の有効性を証明できるようにすること」が必須の対策です。
これらのための具体的方策は、「ローパフォーマー対策」について解説した別のコラム【5 ローパフォーマーへの対応】に詳しく解説をしていますのでぜひご参照ください。
呉弁護士からの一言コメント
バックペイを生じさせないための最大の対策は、何よりも「解雇をしないこと」です。
解雇を回避し、問題社員を退職させることが肝要になるのでその対策について、弁護士にぜひご相談ください。
7 バックペイが問題になる際の弁護士相談の有用性
以上のように、バックペイの負担は会社にとって何ら無益でしかなく、可能な限りこれを避けるべきことは明らかです。
以上の実態に照らすと、解雇紛争やバックペイを巡る紛争に関しては、早期に(できれば解雇を検討するようになった時期や当該従業員の問題行動が発生した時点から)弁護士への相談や依頼をすることが有効かつ重要です。
そうすることで解雇無効に伴う無駄なバックペイを支払うことを避けることが可能となります。
そして、弁護士に相談するためのコストは顧問弁護士の月額数万円に留まるのです。
この金額を支払い、適切なアドバイスを受けてさえいれば数百万円から高いと数千万円に及ぶようなバックペイを支払わずに済むと思えば合理的な企業経営者のとるべき判断は明らかです。
解雇を考えた瞬間から、弁護士への相談をするようにしてください。
8 バックペイに関して当事務所でできること
架け橋法律事務所では以下の対応が可能です。
1.解雇の当否を巡っての具体的な助言
⇒当該従業員の勤務状況や会社からの指導内容などに照らし、裁判例も念頭に置いて、解雇の可否や個別の対処法を助言いたします。
2.解雇に向けての必要な段取りや証拠化の指南
⇒①を踏まえた上で、仮にその時点での解雇が難しいとなれば、解雇をせずに退職してもらうためのロードマップを示します。
具体的には、教育や指導、転籍、配置転換、懲戒処分、退職勧奨などについて個別の助言をいたします。
3.解雇無効を争われた際の可及的すみやかな解決(含む労働審判や訴訟対応)
⇒実際の解雇の後に、解雇が争われた場合には、示談、労働審判、訴訟のいずれの手段であっても会社の立場に立っての弁護を徹底し、バックペイの支払いゼロもしくは減額を目指すことが可能です。
ただし、当該事案において、解雇の効力が最終的にどのように判断されそうかの可能性を視野に入れ、会社にとって不利なケースであればできるだけ早期の解決を目指します。そうすることでバックペイの負担を最小限に抑えるためです。
他方で、解雇の効力に何ら問題がないとされそうなケースであれば、最後まで徹底して争うことで会社としてのメンツを守ります。そうすることで会社の正当性を公にすることが可能となります。
当事務所の各種料金表
当事務所の各種料金表
個別法律相談 | 30分あたり 11,000円(税込) |
労働審判に至った際の費用 | 着手金 308,000円(税込)(報酬別途) |
訴訟に至った際の費用 | 着手金 385,000円(税込)(報酬別途) |
当事務所の顧問契約
顧問契約のご案内
解雇の問題は、継続的な相談や助言が必要になることから、顧問契約の締結をお勧めしています。顧問契約を締結すれば、いつでも時と場所を問わず電話やメール、チャットでの相談が可能です。
そして、当事務所の顧問契約のプランでは、ライトプランであっても労務相談が対象として含まれています。解雇に関する日々のリーガルチェックのために、ぜひご活用ください。
ライトプラン | 月額 33,000円(税込) |
スタンダードプラン | 月額 55,000円(税込) |
プレミアムプラン | 月額 110,000円(税込) |
以上の費用は、会社が負担すべきバックペイの負担と比べると如何にリーズナブルかがご理解頂けると思います。
解雇の紛争、バックペイの負担を確実に避けるためにぜひ当事務所をお気軽にご活用ください。
この記事を書いた弁護士
代表弁護士 呉 裕麻(おー ゆうま)
出身:東京 出身大学:早稲田大学
労使問題を始めとして、契約書の作成やチェック、債権回収、著作権管理、クレーマー対応、誹謗中傷対策などについて、使用者側の立場から具体的な助言や対応が可能。
常に冷静で迅速、的確なアドバイスが評判。
信条は、「心は熱く、仕事はクールに。」
執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)
1979年 東京都生まれ
2002年 早稲田大学法学部卒業
2006年 司法試験合格
2008年 岡山弁護士会に登録
2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所
2015年 弁護士法人に組織変更
2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更
2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所