2018年2月28日付け日経新聞に、ペット売買の仲介サイト運営会社に対する公正取引委員会による立ち入り検査のニュースと、アマゾンジャパンが国内の食品メーカーなどに対してアマゾンの通販サイトで販売した額の1%~5%の「協力金」を求めていることのニュースが掲載されていました。
ペット売買サイト立ち入り 公取委、業者の取引制限か - 日本経済新聞
犬や猫のブリーダー(繁殖業者)と競合サイトの取引を制限したとして、公正取引委員会は27日、ペット売買仲介サイト運営「みんなのペットオンライン」(仙台市)を独占禁止法違反(排他条件付き取引など)の疑いで立ち入り検査した。自社サイトに最も安い販...
アマゾン、取引先に「協力金」要求 販売額の1~5% コスト負担求める - 日本経済新聞
アマゾンジャパン(東京・目黒)が国内の食品や日用品メーカーに対し、同社の通販サイトで販売した金額の1~5%を「協力金」として支払うよう求めていることがわかった。物流費の上昇のほか、システムの更新費用が経営の負担になっているためとみられる。人...
どちらも独占禁止法の問題が生じ得ます。
ペットサイトについては、ブリーダーが同サイトに掲載するにあたり、他のサイトへの掲載をしないよう求めたりしたとのことで、独禁法の排他条件取引の疑いをもたれています。要するに、サイトの優位性をちらつかせて、ブリーダーが他のサイトに掲載することなどを制限することで不当に利益を上げることを防止する趣旨です。
このような規制がない社会では、強いものがますます強くなり、公正な競争が実現せず、挙句の果てには消費者に不利益を及ぼします。それゆえ、独禁法による規制があるのです。
アマゾンについては、協力金の支払いをしない場合にはサイトへの掲載をしない、とか表示ランクを下げるなどの強要があればこれもやはり独禁法上の規制にかかる余地があります。
しかし、現時点での報道の限りでは、昨今の配送費増大に伴う費用負担をメーカーに求めたにとどまり、かつサイトへの掲載制限等をしているようでもありません。
そうすると、アマゾンについては独禁法の問題はクリアーしているといえそうです。
ちょうど同日の新聞に独禁法に関する二つのニュースがあったことから、比較しながら読むとよくわかると思います。