うつ病の社員を解雇するには?企業側の注意点を弁護士が解説

企業経営者の方、人事労務担当の方は、従業員のうつ病」を原因とした休職やその後の処遇や対応について、少なからずお悩みのご経験をお持ちかと思います。

近年、労働問題の中でうつ病を理由とするトラブルが増加しています。

特に、過重労働パワハラセクハラなどが引き金となるケースが増えており、また、根底に労働者の発達障害がある場合も見受けられます。

そうした中、企業においては労働条件の見直しや適切な対応が求められています。

このように、うつ病は、社員個人だけでなく、企業全体の生産性や業務効率に影響を与える問題です。

そして、うつ病を理由とした無断欠勤や業務命令の拒否などが発生した場合、企業としての対応が遅れると、トラブルが深刻化し、業績にも影響を及ぼすリスクがあります。

では、うつ病になったので有休を使う、休職をするなどを繰り返し、周りの従業員ともトラブルを起こす従業員に対して具体的にどのように対処をするのが正しいのでしょうか?

場合によって解雇は可能なのでしょうか?

そもそもうつ病とはどういう病気なのでしょうか?

他にもよく聞く「躁うつ病(躁鬱病)」「抑うつ状態」「うつ状態」や「適応障害」とはどう違うのでしょうか?

これらのうつ病にまつわる問題は、企業経営上避けて通れない問題です。

しかも企業法務の視点から見れば、対応を誤ると従業員から解雇無効損害賠償慰謝料を求められるなどの紛争になり、解決までに相当の長期間を要することも少なくありません。

当然、敗訴するなどすれば、企業は本来は負担する必要のない経済的負担を強いられます

敗訴しなかったとしても、問題解決のために多大なる労力と経費を要することも明らかです。

企業は法律をしっかりと理解し、適切な手順で対応する必要があります。

私自身、弁護士としてもこの間、うつ病を理由とした人事労務トラブル、労働審判、労働裁判などについて多数の相談や依頼を受けてきました。

人事労務の分野では、このうつ病に関する問題が非常に多くの割合を占め、かつその比率が高まってきているとも感じます。

そこで以下では、うつ病を主張する従業員に対する適切な対応を、企業側の弁護士の視点で詳しく解説し、企業が採るべき正しい選択をご案内します。

うつ病の従業員の処遇に悩んだ際にはぜひご一読ください。

では、さっそく見て行きましょう。

1うつ病やこれと類似する疾患などについて

うつ病とは?

うつ病を理由とした人事労務の問題に適切に対応をするためには、うつ病に対する医学的に正しい理解が重要です。

そこで、以下うつ病について解説します。

まずうつ病は、厚労省の表現では以下のように定義されています。

うつ病は、脳内の神経伝達物質「セロトニン」「ノルアドレナリン」が減ってしまう病気だと考えられています。これらの神経伝達物質は精神を安定させたり、やる気を起こさせたりするものなので、減少すると無気力で憂うつな状態になってしまいます。

ですから、うつ病は決して怠けているわけでも、気の持ちようで何とかなるものでもありません。しかも、うつ病は日本人の約15人に1人が一生のうちにかかるという非常にありふれた病気です。早めに適切な治療を受けることが必要です。

このようなうつ病は、精神疾患の中でも特に深刻な状態を指し、「意欲の低下」「気分の持続的な落ち込み」「身体的な疲労感」などの症状が特徴です。

うつ病の原因としては長時間労働や職場でのストレス、プライベートの問題が挙げられます。

うつ病の特徴は?

また、上記厚労省のHPでは、うつ病の特徴として以下のように紹介されています。

次のうち5つ以上(1か2を含む)が2週間以上続いていたら、専門家に相談することをお勧めします。

1.悲しく憂うつな気分が一日中続く

2.これまで好きだったことに興味がわかない、何をしても楽しくない

3.食欲が減る、あるいは増す

4.眠れない、あるいは寝すぎる

5.イライラする、怒りっぽくなる

6.疲れやすく、何もやる気になれない

7.自分に価値がないように思える

8.集中力がなくなる、物事が決断できない

9.死にたい、消えてしまいたい、いなければよかったと思う

うつ病の症状は、始めのうち、こころの不調ではなく体の不調や行動の問題として現れることがほとんどです。

とくに思春期にはそうした傾向がより強いといわれます。

食欲や睡眠に現れるだけでなく、体がだるい生気がない頭痛・めまい吐き気といった体の症状、ひきこもりリストカット暴力攻撃的な行動などとして表現されることもあります。

また、うつ病の症状は、朝の調子がいちばん悪く午後から夕方にかけて改善してくることがよくあります。

朝なかなか起きられず学校を休んだものの、午後からは具合がよさそうに見えると、周囲からはちょっとサボっているだけに見えるかもしれません。

したがって、会社では、従業員のメンタル不全を感じた際に、このようなうつ病の特徴を呈していないかを確認することで、従業員に対するその後の対応を検討することが可能となります。

「うつ病」と「躁うつ病(躁鬱病)」との違いについて

ところで、うつ病と似て非なるものとして「躁うつ病」があります。躁うつ病は、うつ病の症状に加えて躁状態をも併せ持つ病気です。

躁うつ病に罹患すると、躁状態(精神が高ぶり興奮状態となる)とうつ状態(気分が落ち込み、意欲を失った状態)を行ったり来たりすることとなり、本人はその症状の変化に悩まされ、また周囲の人々は本人の状態が躁状態かうつ状態かの見極めや、対処に振り回されることが多々あります。

躁うつ病に罹患すると、ある時は激しく激昂し、他人を非難し攻撃的になったかと思うと今度は急に無気力になるなど、その変化が激しいのが特徴です。

このように、躁うつ病はうつ病とは異なる症状を併せ持つことから、従業員に対する病院からの診断名をきちんと確認し、うつ病なのか、躁うつ病なのかを踏まえ適切な対応を考えなければなりません。

「うつ病」と「うつ状態」「抑うつ状態」の違いについて

このようなうつ病と異なり、うつ病との診断までは付すことができないものの、その様相を呈しているとして「うつ状態」との評価がされることもあります。

ただし、うつ状態というだけでは、うつ病が原因でその状態が生じているのか、他の病気などが原因でその状態となっているのかが明らかではありません。そして、精神科ではうつ病とうつ状態は明確に区別されています。

すなわち、うつ病は「病気」であり、うつ状態は「状態」であり、うつ状態=うつ病とはならないのです。

このようにうつ病とうつ状態は一見して似ている言葉ですが、病気との診断か否かという大きな違いがあります。

この点、参考サイトとして以下をご参照ください。

適応障害とは?

さらに、うつ病と比較されやすいものとして、「適応障害」という概念があります。

適応障害

特定の環境要因(例:人間関係や業務内容の変化など)によって引き起こされる精神的ストレス反応です。

適応障害の場合、その要因から離れることで症状が改善することが多いとされています。

他方で、うつ病はその要因から離れるだけで症状が改善することはなく、適応障害よりも長期的な治療を必要とするケースは多い傾向があります。

したがって、適応障害の場合には、職場におけるストレス要因を解消することで改善することがあり得ます。

2うつ病と発達障害について

以上のように、うつ病とその周辺病状、症状などについて説明をしてきましたが、うつ病による解雇を検討した企業においてよく直面する問題が「うつ病と発達障害」です。

当然、うつ病と発達障害はまったくの別の問題ですが、相互に密接に関連することが多い問題でもあります。

すなわち、発達障害を抱える当事者が、その発達特性のために職場での業務、人間関係、コミュニケーション、ルール、慣行に十分に適応できず、同時に周囲からも理解を得られないことで様々な困難を来し、挙句の果てにうつ病を発症するケースが少なくないのです。

これは、当事務所における過去のうつ病を理由とした休職退職を巡るご相談の際にも、非常に多くお見受けする事象です。

そして、当事者本人は表面的な「うつ病」の病状についてしか目が向かないと、自身の抱える「発達障害」への対応が遅れ、根本的な対処にならないという問題が生じます。

このことは会社側においても同様で、本人がうつ病を発症したとして、その根底に、発達障害の問題があることを看過したまま単に休業や治療を勧め、一時的に問題は改善しても復職後にやはり同じ問題を起こすことが通例です。

そのため、従業員のうつ病が分かった際には、その根底に発達障害の疑いがないかを確認することは問題解決のためには非常に重要なことです。

なお、そもそも発達障害を抱えるがために会社の求めるパフォーマンスを発揮できないという問題については、別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

3うつ病を含めた精神疾患の発症件数、有病率は?

うつ病の発症件数、有病率は?

以上のうつ病については、実際にどの程度の発症件数・有病率があるかを把握しておくことが大切です。

なぜなら、企業における従業員の数に有病率を掛け合わせることで、おおよそ当該企業におけるうつ病の発症件数を推知することが可能だからです。

この点、厚労省の報告では一生のうちに一度は病気にかかる人の割合(生涯有病率)は以下のとおりとされています。

うつ病7.5%
気分障害9.0%
精神障害18.6%

また、WHOはうつ病の有病率を3~5%と報告しているので、100人いると3~5人はうつ病と診断されることになるとしています。

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厚生労働省 職場における自殺の予防と対応 Q&A

こうしたデータからも分かる通り、精神疾患は労務管理上、企業が取り組むべき重要な課題です。

うつ病を含めた精神疾患の労災件数は?

うつ病を含む精神疾患が、労災として認定された件数も増加傾向にあります。

令和5年度には精神疾患の労災請求件数は3,575件、前年度比892件の増加で、支給決定件数は883件で前年度比173件の増加でした。

これらの労災認定に伴い、企業に安全配慮義務違反が問われるケースも増加しています。

4うつ病の従業員を抱えた企業の抱える悪影響について

うつ病の従業員を抱えることは、企業にとって多方面で影響を及ぼします。

具体的には以下のような問題が生じがちです。

生産性の低下

うつ病の症状によって、社員のパフォーマンスが低下する可能性があります。

仕事への集中力が欠如したり、ミスが増えたりすることで、全体の業務効率にも影響を与えます。

チーム全体への影響

うつ病を抱えた社員を職場で適切にサポートできない場合、他の従業員への負担が増加し、モチベーションの低下や職場環境の悪化を招く可能性があります。

労務トラブルのリスク

適切な対応を怠ると、社員から不当解雇やハラスメントで訴えられる可能性が生じます。

労務問題が発展すると、企業の信用や評判にも悪影響を与えかねません。

医療費や休職中の給与支払い負担

うつ病による休職が長引く場合、企業は休職中の給与や医療費を支払う必要があり、これが企業の財務状況に影響を及ぼすこともあります。

これらの課題を踏まえ、企業はうつ病社員への対応に対して法的リスクや経済的影響を最小限に抑える体制を整えることが重要です。

5うつ病の従業員への対処方法は?

うつ病の従業員への対処方法について

以上のように、うつ病は社員の心身の健康だけでなく、企業の労務管理においても大きな課題となります。

ではそのようなうつ病の従業員に対して、企業は具体的にどのような対処方法をとるべきでしょうか?

以下、順に解説をしたいと思います。

適切な病院への受診の勧めなど

まず、前提としてうつ病が疑われる社員がいる場合、適切な医療機関で診断を受けてもらうことです。精神科もしくは心療内科の受診を勧めてください。

すなわち、うつ病は病気ですから、その原因が業務に起因するかどうかはさておき、従業員の健康管理の一環として受診を勧めることが必要となります。

その際、以下のポイントに沿って対応をとるようにしてください。

医師の診断書を取得すること

専門家の意見を取り入れることで、社員の病状や必要な治療方針を明確化できます。

メンタルヘルス専門の医療機関やカウンセリングサービスを案内すること

社員に安心感を与え、早期回復につなげることができます。

全社員に対するメンタルヘルス教育を実施すること

偏見のない職場環境を構築するために非常に有効です。うつ病にかかった従業員は、周囲からの無理解から周囲との摩擦を生じがちです。

その際に、本人に原因があるとして責めたりするのではなく、まずは周囲が本人の症状を理解し、受け止めることが大切です。

そのためには全従業員に対するメンタルヘルス教育が非常に重要かつ有効です。

周囲の理解が不十分なために不用意な発言の結果、本人の症状が悪化したり、回復に遅れが生じたり、場合によっては不用意な発言を理由とした損害賠償請求の問題が生じ得ることもあるので、非常に重要なポイントとなります。

有給休暇や休職制度の利用

社員が医師の診断を受け、うつ病とされた場合には、有給休暇休職制度を活用して休息をとらせることも重要です。

上記のとおり、うつ病の原因には長時間労働や職場でのストレス、プライベートの問題が挙げられます。

そのため、有給休暇や病気休職制度を利用させることで、十分な休息をとることも回復のために重要な手段となります。

社員が業務から一時的に離れ、治療に専念できるようにします。

そこで、会社の就業規則や法令に基づき可能な限りの休息をとってもらうことが最善です。

この際、適切な書類の準備が必要です。

当然のことですが、企業は法律で定められた有給休暇の取得を妨げることはできません。

また、就業規則で休職制度を定めている場合、一定期間の休職を認めることが可能です。

ただし、休職制度の利用の際には、就業規則に照らした休業理由の確認や診断書の提出は必須です。

そのため、従業員が単に病状を訴えただけで休職制度の適用を認める必要はありません。

なお、就業規則については別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

配置転換

うつ病の原因が特定の業務内容や職場環境にある場合、配置転換は有効な対応策となります。

すなわち、うつ病の原因が過重労働や人間関係の問題が原因であれば、別の部署や業務内容に変更することで、社員の精神的負担を軽減でき、病状の改善に繋げられる可能性があります。

社員が業務に専念できる環境を整えるために、労働時間の短縮や配置転換を行い、業務負担を軽減します。

配置転換の具体例としては以下のような方法が考えられます。

配置転換の具体例

  • 業務負荷の少ない部署への異動
  • 在宅勤務の導入
  • チームメンバーや上司の変更

ただし、配置転換を行う際には、社員の意向を十分に確認し、無理強いしないことが重要です。一方的な配置転換は、不当な人事異動とみなされるリスクがあります。

退職勧奨

社員が治療を受けても復職が難しい場合や、有給休暇の利用、病気休職の利用を経ても業務への影響が大きく復職が難しい場合には、退職勧奨を検討することも選択肢の一つです。

退職勧奨とは、社員に対し、合意のもとで退職を促す手続きのことを指します。法的にはあくまで「合意による退職」であるため、解雇と異なり、企業にとっての法的リスクを軽減できます。ただし、退職勧奨を行う際には、以下の点に注意が必要です。

注意点

  • 社員に無理強いをせず、冷静かつ丁寧に退職の必要性を説明すること。
  • 十分な退職金や慰労金を提示することで、社員が納得しやすい条件を整えること。
  • 退職合意書を作成し、双方が署名することで、後々のトラブルを防ぐこと。

企業側がこれらの注意点を踏まえないと、退職勧奨は度を過ぎたものとして実質的に解雇であると争われ、解雇無効の裁判に発展することがあります。

他にも、退職勧奨の手段が違法だとして損害賠償を求められることもあります。

このように、退職勧奨は解雇と紙一重であったり、損害賠償の問題が生じかねなかったりするなどリスクの伴う解決手段です。

そのため、退職勧奨においてはこれらの労務トラブルの発生を防ぐために、弁護士などの専門家に相談しながら進めることが必須です。

この退職勧奨については別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

解雇

うつ病の従業員に対する対処法として、最終手段としては、解雇を検討する場合があります。

うつ病を理由とした解雇については、難しい判断が求められるため、次項で詳しく解説をします。

6うつ病を理由とする解雇は可能か?リスクと企業側の対応策について

うつ病を理由とした解雇と法的トラブルについて

労働基準法では、企業が社員を解雇する際には正当な理由が必要です。

特に、精神疾患を理由とする解雇には厳しい基準が設けられています。社会通念に照らし、不合理な解雇は無効とされることが一般的です。

うつ病を理由とした解雇も、解雇の要件を満たせば当然有効です。

しかし、うつ病は治癒の有無や業務遂行能力の有無ないし程度の判断が外見上非常に難しく、かつ当該本人の就労に対する意欲も様々なため、解雇に向けては極めて慎重な準備と対応が必要になります。

当然、うつ病を理由とした解雇を検討するに際しては、当初から労務問題に詳しい専門の弁護士への相談が必須です。これを欠いたがために後になって会社が苦しい立場に置かれるケースが後を絶ちません。

そして、うつ病を理由とした解雇に関する対応を誤ると、法的トラブルに発展する可能性が高く、企業にとって大きなリスクとなります。

以下では、うつ病を理由とした解雇について順に解説をしたいと思います。

なお、解雇については別のページにテーマごとに詳細を説明していますのでそちらもご参照ください。

うつ病を理由とした解雇の法的リスクについて

まず、労働法において解雇は慎重に判断されるべき行為です。

特に、うつ病を理由とした解雇の場合、社員の権利を侵害する可能性があるため、法的トラブルにつながりやすいと言えます。

具体的には、労働契約法第16条では、「客観的に合理的な理由」がなければ解雇は無効とされています。

これに基づき、うつ病を理由にした解雇は以下のような場合には無効となる可能性があります。

医師の診断書で「業務遂行が可能」とされている場合

会社が休職制度や配置転換などの選択肢を提供していない場合

解雇理由が曖昧で、具体的な証拠がない場合

逆に、以下のようなケースであればうつ病を理由とした解雇も有効とされやすいと言えます。

業務遂行能力の欠如

病気が原因で業務を継続することが客観的に困難である場合正当な理由なく業務命令を拒否し続けた場合なども、懲戒処分の一環として解雇が検討されることがあります。

改善の見込みがないこと

医療機関の診断書などを通じて、病気が回復する可能性が低いと判断される場合

企業運営への重大な支障

病気の社員を雇用し続けることで、企業運営や他の従業員に著しい影響が及ぶ場合。

このように、うつ病の従業員に対しては、解雇する際の原則と、解雇に対する法的規制を踏まえた慎重な対応が重要となります。解雇する前に就業規則の周知や労働条件の適切な提示も必要です。

以下、うつ病の原因が私傷病の場合と労災の場合について詳しく見ていきたいと思います。

うつ病の原因が私傷病の場合の解雇の可否

社員のうつ病が私傷病(業務外の原因で発症した病気)の場合、企業が解雇を検討する際には、以下の条件を満たしているかを確認する必要があります。

長期的な就業不能

私傷病によるうつ病が長期間にわたり、社員が業務に復帰する見込みがない場合、解雇が認められる可能性があります。

うつ病のために労務を提供できないとのことであれば、雇用契約の前提(従業員が会社に対して労務を提供し、これに対して会社が賃金を支払う)を欠くためです。

この場合、医師の診断書や休職期間の経過状況を確認し、社員の業務遂行能力が著しく低下しているかを客観的に判断することが重要です。

適切に休職制度を利用していること

企業において、就業規則に休職制度を設けている場合には、うつ病の従業員に対してこれを利用させる必要があります。

そして、従業員が休職期間を経ても復帰できない場合には、解雇が認められることとなります。

労働契約の終了手続きの適正性

私傷病を理由とした解雇においては、企業が社員に対して解雇理由を十分に説明し、適切なプロセスを踏むことが求められます。特に、解雇理由について社員が納得できない場合、不当解雇として訴訟に発展するリスクが高まります。

このように、私傷病による解雇は、法的な要件を満たせば適法とされる場合がありますが、判断はケースバイケースで異なります。うつ病の従業員に対する問題に詳しい弁護士に相談し、適切な対応策を講じることが不可欠です。

うつ病の原因が労災の場合の解雇の可否

次に、社員のうつ病が業務上のストレスや過労、ハラスメントなどが原因で発症した場合、労災として認定される可能性があります。

この場合、解雇を行う際にはさらに慎重な対応が求められます。

労災認定の影響

労災と認定された場合、企業には社員の健康を損なわせた責任があるとされ、解雇が極めて難しくなります。

すなわち、労働基準法第19条では、「使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。」と定め、業務上の負傷や疾病による解雇に対する厳しい規制を設けています。

ただし、この規定のただし書きに基づく打切補償をした場合には別です。

ハラスメントが原因の場合

上司や同僚からのパワーハラスメントセクシャルハラスメントが原因でうつ病が発症した場合、企業には職場環境整備義務違反が問われる可能性があります。

この場合も、労災と認定をされれば当然に①と同様の注意が必要になります。

また、ハラスメントが原因でうつ病になった際に解雇を強行すると、これを引き金としてハラスメント加害者や会社に対して損害賠償請求がされる可能性が生じます。

業務内容の見直しと復職支援

労災が原因のうつ病の場合、解雇ではなく、業務内容の見直しや復職支援を優先することが重要です。

具体的には、以下の対応が求められます。

・業務負荷を軽減するための配置転換
・職場環境改善プログラムの導入
・専門的なカウンセリングの提供

労災によるうつ病が原因の解雇は、法的リスクが非常に高いため、解雇以外の選択肢(配置転換や退職勧奨)を模索することが現実的な対応策となります。

7うつ病の従業員を解雇するに至るまでの流れについて

うつ病を理由とした解雇を行う際には、以下のステップを慎重に進める必要があります。

これにより、トラブルを未然に防ぐことが可能です。

医師の診断書を取得する

社員の健康状態を正確に把握するために、医師の診断書を取得することが必要です。診断書には以下の内容が含まれるべきです。

傷病名(うつ病か、躁うつ病か、うつ状態か、適応障害かなどを明確にしてもらう)

業務遂行能力の有無(上記傷病名に照らし、当該企業における業務遂行能力の有無や程度を明らかにしてもらう)

症状の程度と治療方針(当該傷病の程度やそれに対する治療方針を明確にしてもらう)

復職の可能性(具体的にどのような経過を辿れば復職の余地が生じそうかを明確にしてもらう)

以上のような記載のある診断書に基づき、復職が困難と判断される場合に限り、解雇を検討すべきです。

休職や配置転換などの代替措置を講じる

うつ病を理由とした解雇を検討する前に、まずは休職制度配置転換を活用し、社員が業務を継続できる環境を整える努力を行う必要があります。

また、病状が回復、軽快した際には、適切な職場復帰プログラムに従って徐々に職場復帰ができるように配慮することも大切です。

その際には厚労省が作成し、公表している『~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~改訂心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き』を参考にしてください。

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~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~改訂心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き

このように、企業としてはうつ病だからといって、直ちに解雇に踏み切ることは解雇回避努力を怠ったとして後に争われる可能性が生じます。

そしてこの場合には解雇の相当性を欠くものとして解雇が無効となりかねません。

解雇の理由を明確にする

解雇理由は、客観的かつ具体的に示す必要があります。

曖昧な理由で解雇を行うと、後々法的トラブルになる可能性が高まります。

例えば、「業務に支障が出た」だけでは不十分であり、具体的な業務遂行能力の欠如や、会社が講じた措置が明確に記録されていることが必要です。

すなわち、当該従業員のうつ病の症状に照らし、当該従業員に課されている業務がどの程度履行できなくなっているのか、また、会社における他の業務についてもどの程度履行できない状況なのかを明確にする必要があります。

8うつ病の従業員との法的トラブルを防ぐための対応策

以上のように、うつ病の従業員との間では復職や解雇を巡る法的トラブルが生じがちです。

そこで、これらを防ぐためには以下の対応策を講じることが重要です。

弁護士への相談

解雇に関する問題は複雑であり、法律の専門知識が求められます。また、うつ病を巡る人事労務問題の取扱い経験のある弁護士からのアドバイスが非常に重要です。

このような労働問題に詳しい弁護士に相談することで、うつ病を患った従業員に対する適切な処遇が可能となり、解雇も含めた最適な対応が可能となります。

社内ルールの整備

雇用契約書就業規則職場復帰支援プログラムの内容を見直し、うつ病などの精神疾患に対する対応ルールを明確化することが必要です。

これにより、社員への対応が一貫し、法的トラブルを防ぐことができます。

記録の徹底

本人が体調を崩してからの会社の対応などについては、常に記録をとることが大切です。

本人からの病状の説明、労務に対する影響、相談内容、連絡内容、会社としての回答や連絡内容、面談記録などをメモでも良いので残すようにしてください。

特に解雇を選択する場合には、これに至る過程や、社員に対して講じた措置について、詳細な記録を残すことが重要です。これにより、万が一の法的トラブル時に、企業側の正当性を証明することが可能となります。

逆に、これらの記録がないがために裁判で会社の対応を立証できずに敗訴に至ったケースもあります。

9うつ病が争われた裁判例について

繰り返し説明をしているとおり、企業がうつ病を理由とする解雇を行う際には、法的なリスクがつきまといます。

そのため、過去に争われた裁判例を理解することは、適切な対応を検討するうえで重要です。

そこで、以下の裁判例を順次ご参照頂けたらと思います。

キャノンソフト情報システム事件(大阪地裁平成20年1月25日判決)

  • 事案の概要
  • 結論
  • 傷病名
  • 休職期間

自律神経失調症を理由に休職していた原告が、休職期間満了による解雇に対してこれが無効であると争った事案です。

裁判所は解雇無効を認め、原告が休職期間中に復職可能な健康状態にあったとし、被告に対して賃金や賞与の支払いを命じました。

自律神経失調症及びクッシング症候群

平成14年6月25日から自律神経失調症のため欠勤を続け、平成15年7月9日からはクッシング症候群及び自律神経失調症を理由に最長2年間の休職期間

弁護士による解説

本件はうつ病自体が問題となった事案ではありませんが、精神疾患を理由とした休職とその復職、解雇を巡る紛争であり、参考になるものとして掲載をしています。

かなり長期間の休職を経ての復職の当否、可否が争われましたが、その時点における労務提供能力を判断し、解雇が無効とされました。

いくら長期の休職期間を経ていたとしても、その間に労務を提供していなかったとしても、休職期間が明けた時点における労務提供能力を個別に判断するのが裁判所の考え方ですのでご注意ください。

地位確認等請求事件(東京地裁平成22年3月24日判決)

  • 事案の概要
  • 結論
  • 傷病名
  • 休職期間

被告の経営する中高一貫校において、国語科の教員をしていたところ、うつ病を発症し、心身の故障のため職務の遂行に支障があるとして被告を解雇された原告が、うつ病は業務上の傷病であるし、被告には雇用契約上の安全配慮義務違反があったなどとして、地位確認や損害賠償請求をした事案です。

裁判所は、うつ病の業務起因性は認めなかったものの、被告が原告の回復可能性を考慮せずに解雇したことは性急であり、解雇には合理性がないと判断しました。その結果、原告の地位確認と未払賃金の請求が認容され、その他の請求は棄却されました。

うつ病

平成18年9月12日に主治医から「うつ状態にて向後3か月の休業の上,静養加療を要する」と診断され、翌日から休職、休職期間延長を経て、計約1年間の休職期間。

弁護士による解説

うつ病が業務に起因するとなれば労災の認定がされます。その結果、労働基準法19条の規制が及び解雇に対する制限が課されます。

本件でも労災該当性(業務起因性)が争われましたが、この点については、裁判所は認めませんでした。

他方で私傷病であったとしてもいかようにでも解雇が許される訳では無く、回復可能性を考慮し、これがあるなら復職を認めないとなりません。

しかも、その際には職場復帰支援プログラムに基づき段階的な復職がふさわしく、そのような段取りを踏まずに解雇をした本件では解雇の合理性を欠くものとされた次第です。

会社からすると、長期に渡る休職のため解雇に踏み切りたいと考えたと思われますが、まさに慎重な判断が重要だと考えさせられる事案です。

東芝事件(東京高裁平成28年8月31日判決)

  • 事案の概要
  • 結論
  • 傷病名
  • 休職期間

鬱病に罹患し休職後解雇された元従業員からの損害賠償請求等が認められた事案です。

裁判所は、解雇が労働基準法に違反するとして無効であると認定しました。その結果、約5,000万円のバックペイと損害賠償請求に関して約600万円の賠償を認める判断を下しました。

うつ病

平成13年5月下旬から有給休暇の取得や欠勤を続け、欠勤期間が就業規則所定の期間を超えた平成15年1月10日,会社が休職を発令し、休職期間の満了を理由とする解雇予告通知が届いた平成16年8月6日まで休職。

弁護士による解説

本件は紛争の長期化の結果、裁判所の結論に伴い高額のバックペイ等の支払いが言い渡された事案です。

この事案のように最終的に解雇が無効と判断されると会社は遡っての賃金支払い義務が生じ、大きな負担となる点に注意が必要です。

10そもそもうつ病による休職や解雇の問題を生じさせないために会社ができること

うつ病のない職場作りについて

以上のように、従業員がうつ病になると生産性の低下職場のモチベーション低下、その後の復職や退職を巡り非常に多くのマイナスが生じます。

そのため、可能な限り従業員がうつ病に罹患しない職場作りを行うことは、企業にとって非常に重要な課題と考えられています。

そこで、以下ではそのために必要な施策をいくつかご紹介します。

社員のメンタルヘルスを守る職場環境づくり

・職場環境のストレス要因を減らす

職場のストレス要因を特定し、それを改善することがメンタルヘルス対策の第一歩です。

たとえば、長時間労働や業務過多が続く場合、それが社員の精神的な負担を増大させる可能性があります。

適切な業務量の配分や、必要に応じた人員の増員を検討することが重要です。

・ハラスメント防止対策を徹底する

職場内でのハラスメント行為は、社員の精神的な健康を著しく損なう原因となります。

パワーハラスメントセクシュアルハラスメントを防止するための研修を定期的に実施し、社員全員に正しい理解を促すことが求められます。

研修については専門家を講師とすることが望ましく、当然、弁護士に依頼することでも十分な研修が期待できます。

・コミュニケーションの促進

上司や同僚とのコミュニケーション不足は、孤立感や不安感を生む原因となります。

定期的なミーティング1対1の面談を行うことで、社員の悩みや問題を早期に把握し、適切に対応できる環境を整えることが重要です。

・社内相談窓口の設置

社員が気軽に相談できる窓口を設けることで、問題の早期発見が可能になります。

相談窓口は、信頼性の高い外部機関と提携して設置することも効果的です。

・ストレスチェックの実施

労働安全衛生法に基づき、50人以上の事業場では毎年1回のストレスチェックが義務付けられています。

この制度を有効活用し、社員のストレス状況を把握することで、必要な対策を講じることができます。

・メンタルヘルス研修の実施

社員や管理職を対象にしたメンタルヘルス研修を定期的に実施することで、精神疾患に対する理解を深め、職場全体での予防策を推進できます。

特に管理職は、部下のメンタルヘルス状態を早期に察知し、対応する役割を担うため、重点的な教育が必要です。

うつ病の早期発見と対応

・早期発見の重要性

うつ病は早期に適切なケアを行うことで、重症化を防ぐことができます。

社員の普段の様子を観察し、仕事のパフォーマンスの低下や遅刻・欠勤の増加など、メンタルヘルスに異常が疑われる兆候を見逃さないことが重要です。

このうつ病の特徴は、『(2)うつ病の特徴は?』で詳しく判断基準を記載していますので、改めてご確認ください。

・適切な医療機関への受診を勧める

メンタルヘルス不調が疑われる社員には、適切な医療機関への受診を促しましょう。

受診や治療のために、必要に応じて有休休暇の取得や病気休職の利用を促進しても良いかと思います。

・復職後のフォロー体制

うつ病から回復して復職した社員に対しては、職場復帰プログラムを設けることが有効です。

業務量を段階的に増やし、少しずつ通常業務に戻れるようにするなど、柔軟な対応が求められます。

職場復帰支援プログラムについては『②休職や配置転換などの代替措置を講じる』でも解説したように、厚労省の手引きを活用することが適切です。

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://kakehashi-kigyo-law.com/wp-content/uploads/2025/01/000561013.pdf

就業規則や制度の見直し

・明確な休職制度の導入

就業規則に、精神疾患を含む病気やケガによる休職制度を明記することは、社員に安心感を与えるとともに、企業としての法的トラブルを防ぐことにもつながります。

・職場復帰支援プログラムの策定

復職支援プログラムを事前に策定しておくことで、復職後のトラブルを防ぎ、スムーズな職場復帰が可能となります。

このプログラムには、段階的な業務復帰計画や定期的な面談を含めると良いでしょう。

なお、繰り返しになりますが、職場復帰支援プログラムについては「②休職や配置転換などの代替措置を講じる」でも解説したように、厚労省の手引きを活用することが適切です。

chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://kakehashi-kigyo-law.com/wp-content/uploads/2025/01/000561013.pdf

・社内外の専門家との連携

弁護士や社会保険労務士、産業医など、専門家と連携することで、制度の整備や運用がスムーズに進みます。

特に、精神疾患に関する法律知識が求められる場面では、弁護士のサポートが重要です。

11うつ病の問題について弁護士に相談をするメリットは?

うつ病を理由にした解雇や労務管理は、非常にデリケートで慎重な対応が求められる問題です。

適切な対応ができていないと、企業側に多大なリスクが生じることがあります。

こうした課題に直面したとき、弁護士に相談することは多くのメリットをもたらします。

本記事では、企業経営者が弁護士に相談するべき理由と、その具体的なメリットについて解説します。

精神疾患と労働法の専門知識を持つ弁護士による対応

うつ病を理由にした解雇や労務管理は、労働契約法労働基準法障害者差別解消法など複数の法律が絡み合います。これらの法律は複雑なため、正しい解釈が必要です。

弁護士はこれらの法的知識を持ち、適切な助言を行います。

たとえば、「労働契約法16条」に基づき、解雇の合理性が認められるかを判断する際には、具体的な事例や判例に即した対応が求められます。

特にうつ病の理解や対応についての経験がないと、うつ病を理由とした従業員の休業や復職のための適切なアドバイスはできません。

当然、あり得る解雇の可否やリスクについての助言もできません。

したがって、これらの知識と経験がある弁護士に相談をするようにしてください。

・不当解雇のリスクを回避するための助言

うつ病を理由にした解雇は、本人から不当解雇として労働審判や訴訟を起こされる可能性があります。

その際に、会社の解雇が正当であり、有効であることを主張立証するためには、解雇に至る前から弁護士の関与が重要です。

当然、これら法的紛争に際して弁護士が受任し対応をすることも重要です。

なお、労働審判手続については別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

・就業規則や制度の整備をサポート

解雇や休職の問題が発生しないように、あらかじめ就業規則や休職制度を整備しておくことが有効です。

弁護士は、法令に基づいた適切な規則の策定や運用の支援を行います。

なお、就業規則については別のページに詳細を説明していますのでそちらをご参照ください。

・職場復帰プログラムの提案

うつ病から回復した社員の職場復帰をスムーズに行うためのプログラム策定も、弁護士の得意分野です。

業務量の調整や職場環境の整備など、復職後のトラブルを防ぐ方法について相談できます。

繰り返しになりますが、職場復帰支援プログラムについては厚労省の手引きを参考にするようにしてください。

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・社員教育や管理職研修への協力

管理職や人事担当者向けの研修を通じて、うつ病や精神疾患に対する理解を深めることも重要です。

弁護士は、労働法に基づいた適切な対応方法をわかりやすく伝えることができます。

そのための研修を行うことも可能です。

・社内外への適切なメッセージ発信

メンタルヘルス対策に積極的に取り組む企業は、社員からの信頼を得やすくなるだけでなく、外部のステークホルダーからの評価も向上します。

弁護士のサポートを受けて労務管理を適正化することで、企業のイメージ向上にもつながります。

・社員と企業の信頼関係を築く

適切な対応が取れることで、社員が安心して働ける職場環境を提供できます。

これにより、社員のモチベーションや生産性が向上し、離職率の低下にもつながります。

12うつ病の問題について当事務所ができること

うつ病の社員を抱える企業にとって、解雇や労務管理における対応は慎重さが求められる課題です。

適切に対処しなければ、労働トラブルが発生する可能性があり、企業経営に大きな影響を及ぼします。以下、そのための対応として当事務所が提供できることをご説明いたします。

労働トラブルの未然防止

うつ病を含む精神疾患に関する労務管理では、就業規則の適切な整備が重要です。

当事務所では、休職や復職に関する具体的な規定を設けるためのサポートを行います。

例えば、休職期間の上限や復職時の基準を明確にすることで、トラブルの予防が可能です。

メンタルヘルスに対応した職場環境の構築

企業が社員のメンタルヘルスに配慮した職場環境を整えることは、社員の生産性向上や労働トラブルの防止につながります。

当事務所は、ストレスチェック制度の導入や、社員向けの相談窓口設置に関するアドバイスを提供します。

社員教育と管理職研修

管理職がうつ病や精神疾患を正しく理解し、適切に対応できるよう、当事務所では管理職研修を実施しています。

たとえば、社員がストレスを感じているサインに気づく方法や、休職者への対応について、具体的な事例を交えて説明します。

・従業員対応の実務支援

うつ病から回復した社員が円滑に復職できるよう、当事務所では復職支援プログラムの構築を支援します。

復職時の業務負担を軽減するための配置転換や勤務時間の調整、周囲の社員への説明方法などについても、具体的なアドバイスを行います。

・退職勧奨や解雇手続きのサポート

社員の回復が難しい場合や、業務に支障をきたす場合には、退職勧奨や解雇を検討する必要があります。

当事務所では、退職勧奨の進め方解雇手続きについて、法的に適切な方法を提案します。

また、必要に応じて社員との交渉にも同席し、トラブルが発生しないよう対応します。

さらに、うつ病を理由にした解雇には、「客観的合理性」「社会的相当性」が必要とされています。

この基準を満たさなければ、不当解雇と判断され、裁判や労働審判で企業側が不利になる可能性があります。

当事務所では、解雇の適法性を確認し、企業のリスクを最小限に抑えるための助言を行います。

・労働審判や裁判への対応

うつ病を理由とした解雇が労働審判や裁判に発展するケースも少なくありません。

当事務所は、こうしたトラブルに迅速に対応し、企業が不利な立場に立たないよう支援します。

解雇理由の正当性を立証するための証拠収集や、労働審判での主張内容の整理を行います。

・裁判外の解決を目指す支援

裁判や労働審判に発展する前に、労使間での円満な解決を目指すことも可能です。

当事務所では、労働者との交渉を代行し、双方が納得できる解決策を提案します。これにより、無用な法的トラブルを回避し、企業イメージを守ることができます。

13まとめ

このように、岡山香川架け橋法律事務所の支援を受けることで、うつ病を理由とした労務トラブルについて、事前事後に法的リスクを回避し、適切な対応が可能になります。

当事務所は、うつ病を理由とした多数の労務トラブルを取り扱ってきた実績があります。

うつ病の社員を解雇する問題は、非常にデリケートであり、社会通念に基づいた慎重な対応が求められます。

今回本コラムで解説した内容をもとに、適切な対応を行うことが重要です。

また、トラブルを未然に防ぐためには、顧問弁護士との契約が非常に有効です。

当事務所では、労働問題、残業代請求、契約書の作成など、企業が抱えるさまざまな課題に対応しています。

問題を未然に防ぐためには、顧問弁護士との契約を検討することをおすすめします。

お問い合わせは、電話やメールフォームから承っております。ぜひ一度ご利用ください。

就業規則の整備から裁判対応まで、幅広いサポートを提供しておりますので、うつ病に関するお悩みがある際は、ぜひ当事務所までご相談ください。

執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)

1979年 東京都生まれ

2002年 早稲田大学法学部卒業

2006年 司法試験合格

2008年 岡山弁護士会に登録

2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所

2015年 弁護士法人に組織変更

2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更

2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所


この記事を書いた弁護士
代表弁護士 呉 裕麻(おー ゆうま)

出身:東京  出身大学:早稲田大学
労使問題を始めとして、契約書の作成やチェック、債権回収、著作権管理、クレーマー対応、誹謗中傷対策などについて、使用者側の立場から具体的な助言や対応が可能。

常に冷静で迅速、的確なアドバイスが評判。
信条は、「心は熱く、仕事はクールに。」

*近場、遠方を問わずZOOM相談希望の方はご遠慮なくお申し出ください。


執筆者:弁護士 呉裕麻(おー ゆうま)

1979年 東京都生まれ

2002年 早稲田大学法学部卒業

2006年 司法試験合格

2008年 岡山弁護士会に登録

2013年 岡山県倉敷市に岡山中庄架け橋法律事務所開所

2015年 弁護士法人に組織変更

2022年 弁護士法人岡山香川架け橋法律事務所に商号変更

2022年 香川県高松市に香川オフィスを開所

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